これが漢の戦車道 F
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
N山競戦車場の東西4km、南北8kmの広がりを持つフィールドの真ん中あたりで、男たちのKV-1C5両と小娘悪魔の率いるA41第11号車と2両のジャンボウ突撃戦車が激突する。
KVはジャンボウに命中弾複数をあたえるも、まったく有効打にならない。
しかし、いまや彼我の距離は500mを切った。
「ディアブロ、Go ahead!」
見かけ13歳の実年齢4,000歳以上が、A41に突撃を命じる。
あのランバリオンの再現だ。
A41はKVの真ん中の1両を中心に、正確に円弧を描く。
――と、見せかけて90度ターン。
「砲塔1時マイナス5度。5秒前、3、2、1」
すでに徹甲弾を装てんし終えた角谷が、行進間のタイミングを数えている。
砲塔に遮られ、肉眼で見えずとも、角谷には敵戦車の現在位置がわかる。
一度ローダー用ペリスコープで視認すれば十分だ。
ナオミは発火装置の作動タイミングに合わせて「1」と聞いた瞬間に発射ボタンを踏む。
角谷が「ゼロ」と言ったのと同時に、照準眼鏡の左から右に何かがよぎる。
空薬莢はすでに排出され、閉鎖器が開いている。
「進路変更右60。2分後に左90。速度18(マイル)を維持」
小娘悪魔が進路を指示する。
彼女はいま撃破したばかりのKV-1Cにいちべつをくれてから僚車の動きを見ている。
17ポンドを車体正面上部にくらったKV-1Cは11時の「昼飯」だったが、A41の機動により昼飯の角度が相殺され、低抵抗徹甲弾と同じ飛翔特性を持つ競技弾を真正面から食らった。
傾斜60度(水平から)の110mm装甲は実質126mm相当になるが、17ポンドの通常徹甲弾の貫徹力は150mm以上。当然撃破判定だ。
しかし、このKVからは、出るべきものが出ない。気の抜けた音とともに出てくる白旗が。
いや、観客席正面のオーロラビジョンでは、すでに彼らの戦車に赤い線で×印がついている。
そして……。
「うぎゃぁあぁぁあぁぁあ!!」
戦車の中から響く、野郎どもの悲鳴。
オーロラビジョンには、戦車の内部がアップで映っている。
それを見てどっとわく観衆ども。
「いやー、これ見るのもひさしぶりだねえ〜」
「これもギャンブル戦車道の楽しみなんだけどさ。わはは……」
なんと言うことであろうか。
戦車の内部には数千ボルトの高圧電流が30秒間流され、乗員がけいれんしながら絶叫する。
やがてその地獄絵図も終わり、野郎どもは白目をむいて泡を吹いて、気絶する。
電流が止まると同時に、画面がふたたび戦場に切り替わる。
「なんなんですかあれわぁー!」
ホラー号の中に、ドロ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ