これが漢の戦車道 F
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微鏡レベルでまっすぐになる。
さらに加熱すると、今度は砲身の熱膨張が始まって内径が広がり、ライフルの食いつきが甘くなって、砲弾の初速が上がり、誤差が大きくなって当たらなくなる。
現代戦車がサーマルジャケットなんてものを砲身に巻いているのは、そういうわけ。
また、砲口と防循のあいだをレーザーで測定して狂いを測り、それを火器管制装置にフィードバックして自動で修正し、初弾から命中が期待できるようにしている。
現代戦車砲が50口径長前後だというのも、皮肉にも命中精度を優先した結果だ。
現にひとまるの主砲は、露出部だけならW号H型よりちょい長い程度にしか見えない。
砲弾の初速は発射薬を工夫してかせいでいるのは、17ポンド以来のやり方だ。
「まあ、慣れているティーガーUなら、こんなことする必要もないが……」
といいながら、石器時代の脳筋は、またまたまた88mm砲弾を4発、小脇に抱えている。
蝗の88mmkwk43p71口径は、通常弾でさえ1,500mの貫徹力が垂直RHA換算で200mm以上。
正面装甲が修正後100mmがやっとのシャーマンではどうにもならない。当たれば即死だ。
電撃や催涙ガスや炭塵爆発や即席サウナでのたうち回る野郎どもを尻目に、石器時代の脳みそ筋肉勇者にして黒森峰3年全科目首席のシスコン朴念仁は、愛する妹の元に急ぐ。
その妹からは「お姉ちゃんはそういう使い道しかないから」と遠回しに言われたらしい。
姉妹合体ブレイザーカノンなどという非常識技を使ったりしたからだろう。
あの「死亡確認されなかった某艦長」だって、生霊になって特攻を勧めた程度なのに、この姉と来たら、背中を押すどころか力業で妹を文字通りの「鉄砲玉」にしやがったのだから。
まあ、某歌姫ラ○ス様のときも似たようなことをしているようだが。
観客席は、もう完全にお通夜ムードだ。
これでみんな、胴元分を控除された戦車券代金を返金されて終わりだ。
どれもこれも、戦争親父のせいだ。
あれがふがいないから、小娘どもの乗った戦車5両にこの醜態だ。
いまや観客がここに残って試合を観戦し続けているのは、その戦争親父がどうなるのか、ただそれを見とどけたいというだけの理由しかなかった。
せめて今相手している奴ぐらいはさっさと倒してくれよなあ〜。常勝無敗なんだから。
そう思っている観客をガッカリさせてしまうようなら、暴動は必至。
戦争親父も明日の太陽を拝めるかどうかわからないというところだ。
しかし、ホラー号とお化けあんこうは、まだ一進一退のつばぜり合いを続けている。
(つづく)
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