暁 〜小説投稿サイト〜
嗤うせぇるすガキども
これが漢の戦車道 F
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
2両に対する注意はとっくにどっかにいってしまっている。

「Gonna kick your ass!」

 トウモロコシ頭が、アゴーニと言った。
 豆腐屋の隠し子のスピンターン連発は、天然だが計算ずくだ。
 悪魔を狙うKVの1両が、砲腔軸線にどんぴしゃりでのっている。

「Заткнись! Ты сука! Огонь!」

 今までダンマリをとおしていた砲手が、お上品なお言葉とともに思い切り発射ボタンを踏む。
 かいしんのいちげき!
「かーべーあぢんたいぷ1942」Dの、ぼうじゅんしたはんぶんにほうだんがあたった。
 ほうだんは、しょっととらっぷをおこした。そうじゅうせきはっちにめいちゅう。

 撃破されたKVの車内に、コピーのトナー以外の何物でもない炭素の粉末がばらまかれる。
 乗員たちが気がついたときには、すでに処刑装置が小さな火花を飛ばしていた。

 なんか「ズン!」という音がKVから起きて、ハッチが全部開き、黒い煙がたちのぼった。
 当然のことながら制御された炭塵爆発だからそれ以上の被害はないが、一瞬酸素を奪われた野郎どもは白目むいてベロを出してのびている。
 当然観客大喝采。

 一方その2両が撃ったA41であるが、右に90度旋回した結果、正面をKVどもに向けている。
 KVどもが撃ったのは両方とも高速徹甲弾。
 それが両方とも40度傾斜の76mm装甲にほぼ水平に命中。
 cos40°=0.766なので、76mm÷0.766≒100mm。砲弾貫徹力400mで97mm。
 わずかに及ばず、撃破失敗。
 それを見て、怒り狂った生き残りの方のKVが、何をトチ狂ったのかそのまま全速前進。
 ……いや、ヘッドオンでの体当たりを仕掛けてきた。
 A41も、避ける気全くなし。

 しかし、2両の戦車は衝突せず、いわゆる「ナイフエッジ」ですれ違う。
 チビガリが砲塔正面をKVに向け続けるよう、スポーツ刈りにちまちま旋回装置を動かさせていたので、KV側は車体がコンマ以下の角度でずれていたのに気づかなかったのだ。
 A41は速度を保ったまま、KVをスルー。

「R50で右旋回90度。その後直進5分間」
「ヤ〜ヴォ〜ルゥ〜。フラウコマンダン」

 小娘悪魔の指図に、ドリルツインがやる気全然ナシの怪しいドイツ語で応じる。
 他が勝手に働いてくれる手間のかからない連中なので、小娘悪魔は全体指揮をやめて、A41の進路指示だけやっている。
 一方、態度とは裏腹にドリルツインは日頃鍛えたドラテクの一部を垣間見せる。
 メリットブラウンステアリングの2種類しかない旋回半径の、小さい方をハンドルで選択し、ギアを2速落とし、アクセル全開でラインをはらませて、半径50m±2mでコーナリングする。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ