これが漢の戦車道 E
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あからさまな殺気がよぎる。
「操縦! 全速前進!!」
間一髪だった。
ホラー号が動いた直後、もといた位置に長砲身の撃った徹甲弾が降ってきた。
「操縦、左90度全速! ん?
……テメエは!」
「あなたの相手は、私です」
安定の少佐カットがそこにいた。
戦争親父にとっては、完全な不意打ちとなった。
敵Aグループに対しKV隊を差し向け、後方をシャーマン隊が扼する。
おそらく敵Bグループは交戦開始とともに挟撃を読んでシャーマン隊の後ろへつく。
それをさらにホラー号で追うという、三段構えの作戦だった。
だからB班が「2両発見」と報告したら、予定どおり挟撃させることにしただろう。
しかしB班の後ろに出現したのは1両。当然もう1両の狙いはホラー号。
ならばすでに交戦中のKVは捨て石にし、シャーマンだけでも合流させ、戦力を集中。
それでも数ではタイだから、やりようがあると思っていた。
しかし敵は、ホラー号の位置さえ読んでいて、少佐カットが自ら一騎討ちに出たようだ。
距離わずか300m。
(こんなところまで接近を許すとは、俺もヤキが回ったな)
だが、インファイトなら自分が格下でも勝機はある。戦争親父はそう思った。
しかし、こいつはあのとき硬直していたのとはまるで別人。
背後に真っ赤なオーラが立ち上り、眼光炯々。一分の隙すらない。
ガキンチョが悪魔なら、コイツは俺と同じ鬼だ。面白い。
知らず知らずのうちに戦争親父は、口の端を釣り上げ笑っていた。
負けるかも知れない相手と戦うのは、本当に久しぶりだった。しかも女だ。
両者は昔の剣豪同士が、移動しながら斬りかかる機を図るように走りまわり続ける。
その間にも戦争親父の指揮を受けられないそれぞれの分隊は、ただちに非常事態と認め、即座に各リーダーが「隊長交戦中につき、これより戦車戦の指揮をとる」と宣言した。
「ディアブロより全車、右30度に旋回。行進間射撃の用意をなせ」
「弾種APCR。
虎の子だから外すなよ、ナオミちゃん。
砲塔旋回左18度で行ける」
「ケルビムよりディアブロ。自由行動許可されたし」
「好きにして。第1射後は全車直ちに移動、各自判断で交戦せよ。
ディアブロは遊撃戦に移行する」
「アルカンジェロは進路を維持して、敵完全沈黙まで連続射撃とす。
西、やれそうか?」
「我々が行進間の知波単でもあることも、野郎どもに教育してやりますよ」
今の彼女たちは平常運転ではない。完全に戦車と一体化したマシーンとなり、天使と悪魔の連合軍と化して戦うのだ。男性陣が単騎同士では決して勝てない戦車に乗って。
とくに知波単組は、初めて自分たちが乗った戦車が75mmクラスの
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