これが漢の戦車道 E
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強の防御で知られるC型の装甲を信じ、「昼飯の角度」に車体を構え、徹甲弾を撃つ。
41.5口径76.2mm戦車砲ZIS-5なら、1,000mを切ればシャーマンの車体正面を抜けるはず。
5門のZIS-5が向かって右側、「アルカンジェロ」をレティクルに捉える。
砲手が車体中央の左50cm相当に狙いをつける。
大戦型戦車は(日本はどうか知らないが)狙撃銃のような「ゼロイン」はとらない。
ゼロインは、あらかじめ狙撃ポイントと標的の距離が明らかで、しかも銃身と照準眼鏡の水平方向の軸線が一致している狙撃銃だから取ることができる。
第二次大戦までの戦車の照準儀は、砲身とまったく平行になるよう調整される。
有効射程は2km以上。どうせヘアライン(十字:かつては本当に毛を使った)のど真ん中に標的を捉えることなどない。戦車道の砲手はどのみち勘と経験で弾道を予測する。
距離に応じて右(アメリカ戦車は左)にどれだけずれて着弾するか知っていればいい。
それ以上のズレは気流のせいだ。そこまで面倒は見られない。乱数の世界だ。
しかし、1,000mならまだ気流の影響はそれほどではない。
KV5両は、満を持して主砲を撃つ。砲声がきれいにそろい、1門だけが撃ったかのようだ。
徹甲弾仕様の競技弾はそのすべてが大天使の正面に命中。そして、……すべて弾かれた。
「なんだと……」
大天使様は、まったく無傷だよーんといわんばかりに、そのまま向かってくる。
しかしあっけにとられたのはほんの一瞬、気を取り直したKV集団は再び統制射撃を見舞う。
だが、眼前800mで撃った砲弾は、またことごとくはじき返された。
もはや、フロックなんかではない。
アルファリーダーが事の次第を急いで戦争親父に報告する。
戦争親父には、もはやひとつしか心当たりはなかった。
『くそったれ!
そいつらはA3はA3でもシャーマンじゃねえ。E2ジャンボウだ!!』
M4A3E2ジャンボウ突撃戦車。これこそ本来のアメリカ兵器の有り様に沿った戦車。
砲塔防循177mm、車体前面46度102mm、下面は140mm曲面。なのに重量たった38トン。
ティーガーどころかパンターすら寄せ付けない重防御。やればできる子である。
そして本来の仕様と異なり、76.2mmM1砲とイージーエイトの足回り。
額面出力は同じでもトルクに優れるディーゼルの四式エンジンを積んでいる魔改造だ。
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『畜生! HVSSの足回りにダマされた。
アルファリーダー、損害に構わず突撃せよ』
『ブラヴォーよりワーダディ。後方2,500に敵1両出現。戦術変更有りや?』
「すぐに逃げろ! 俺と合流し……」
その時、戦争親父の脳裏に何かの
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