これが漢の戦車道 E
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頃の訓練のたまものだろう。
乗車と同時に、手早く各自が持ち場のコンディションをチェック。
あっというまに全員が「異常なし」と報告を返す。
車長たちが「出撃準備よし」と戦争親父に報告を返すまで、1分もかかっていない。
「よろしい。A班前進」
最初に動きだしたのは、KV-1Cの5両だった。
乱れのない単縦陣で、速度をそろえて進撃していく。
平地ではなく、林の中を悟られないように排気音抑えめで進んでいるが、決して遅くはない。
戦争親父は、私物の軍用クロノグラフで時間を計っている。
A班進発から、正確に5分35秒が過ぎた。
「B班、予定どおり行動せよ」
今度はM4A1/76(W)の4両が、すばやく単縦陣を組み、やはり林を抜けて前進を開始。
あとには、ホラー号だけが残された。
『ふふふ、面白いことしてたじゃない』
またまた鹿次の頭の中だけに声が響く。小娘悪魔だ。
こっちのドローンに対抗して「鷹の目」的な魔法か、使い魔でも使役しているというのか。
『だから、魔法は使わないっていったわよね。
その気なら、あなたたちの周囲にとっくにみんなワープしているわ。
それに、私が本当は何年生きているか知ってるでしょ?
ドローンはハンデとして認めてあげるわ』
鹿次は心の中だけで「それ、どこのデ○ラー戦法だよ」とぼやく。
確かにそんなマネされた日には、誰も太刀打ちできないだろう。
しかし小娘悪魔は、純粋に頭脳と経験値だけで男性陣の動きを読み切ってみせるというつもりらしい。
正直言って鹿次には、戦争親父だって何を考えているのか読めないのだ。
悪魔の考えならなおさらだ。
だが、面白い物を見ることができそうだ。
このときの鹿次は、すっかり以前の戦車道ファンだったときの気分になっていた。
「この風、この肌触りこそ、闘争だ」
期せずして、戦争親父と小娘悪魔は同じセリフを口にした。
もっとも、互いにそのことは知るよしもなかったが。
「何か言った? 愛里寿ちゃん」
チビガリオヤジの生徒会長が、小娘悪魔に問いかける。
「あの男に『戦いに敗れると言うことは、こういうことだ』とか言わせてみたいわ。
──AおよびB号車、前方2,000mを注視。もう来るわ」
直後、その2,000mかなたから、ブッシュをかき分けるようにKV-1Cの縦隊が出現。
5両目が林を抜けると同時に全車が同じタイミングで90度転回、正面を彼女らに向ける。
「ディアブロよりセラフィム。状況は想定Cだわ」
小娘悪魔は罰当たりにも少佐カットを最上級の天使と呼んだ。
その熾天使様からの返答は無線ではなく、各自のス
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