これが漢の戦車道 D
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なことば、はしたないですわよ。
せいぜいレット・イット・ビー(神様の言うとおり)ですわ」
イギリス巻はそれらしく、英国面の世界的名曲のタイトルで返す。
だが、そんなこといっていると、グループは解散してしまうだろう。
それにここに来ているのは天使ガブリエルではなく、悪魔アスタロトの手先だ。
「ふふふ、ターボチャージャーシングルタービンの四式ディーゼルにシンクロメッシュのトランスミッション、プラス、クレトラックステアリングに足回りはHVSSですわー。
どんな走りをするか、いまから楽しみですわぁ」
よく「豆腐屋の隠し子」呼ばわりされるローズヒップは元々ハイテンションだが、
ラ○エボと同じ系列の会社が作った37.7リッターV12ターボ500馬力※に狂喜乱舞している。
(※ 「戦後日本の戦車開発史」より)
一方で、中分けロングの砲手はまったく沈黙している。無駄なガールズトークは苦手らしい。
「風が笑っている」
手癖の悪いチューリップ帽が、意味不明なポエムをささやいている。
「こんな言葉をご存じ?
『人は喜んで自己の望むものを信じるものだ』ですって。
あと『中国語で書くと、危機という言葉は二つの文字でできている。
ひとつは危険、もうひとつは好機である』とか、
『悪口を言われて我が身を正すことの出来る人間は幸せと言うべきだ』とか、
『おまえは、他人のなかにある自分と同じ欠点をむち打とうとするのか』
とか……」
残念な事に、格言オタクのイギリス巻を止めることができる者は、いまここにいない……。
チューリップ帽子が、火に油を注ぐ。
「そのおちょくりに、意味があるのだろうか」
男性陣はパドックからゲートまで戦車を移動させると、いったん戦車を降りて、割り当てられたミーティングルームに集まった。
これは女性軍も同様で、N山競戦車場の反対側でも同じようにブリーフィングが行われているはずだ。
「いいか野郎ども。これから作戦を言う」
ふだんは素っ裸に赤フン一丁の戦争親父だが、今は米軍払い下げのボディアーマー付き野戦服上下に、ちゃんと戦車乗車用ヘルメットを着用している。本気度がやけに高い。
ただ安全靴は、赤いままだが。
「はじめ俺は、KVを横一列に並べ、シャーマン長砲身を隠しながら前進の、
押しの一手で何とかなると思っていた。
だが、それをやったら、枕を並べて討ち死にだろう。
いや、もうはっきり言おう。
野戦かつ遭遇戦では、いまの俺たちでは全滅だ」
皆が顔を見あわせ、小声でなにか言い合っている。
「戦争親父」が、ここまで悲観的なことを言うのは初めてだからだ。
「ここの競技場は、東西4km、
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