暁 〜小説投稿サイト〜
嗤うせぇるすガキども
これが漢の戦車道 B
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「あとはスタ公だけか……。よし、操縦手。
 180度旋回、時速28キロきっかりで逃げろ」

 またまたバケモノ戦争親父が変な指示を飛ばす。
 重戦車相手にケツ向けて逃げろなんて、オカマ掘ってくださいと言うのと同じだ。
 普通ならば……。

「あっ、逃げる。
 ドライバー! 全速で追跡!」

 しかし遠距離狙撃に自信のなかったスタ公の車長は、装甲の優位を信じて接近戦を指示する。
 それこそが戦争親父の狙いだとも知らず。

「ガンナー! 何を呆けているの!
 しっかりしなさい!!」
「え? あ、すみません」
「敵は目前よ! 急速停止。同時に発砲!」
「り、了解」
「停止!」

 スタ公の車体前部が深く沈み、尻が持ち上がる。
 それが、戦争親父が待っていた瞬間だった。

「操縦手、全速! スピンターン180度」

 操縦手がギアを一気に1速までダブルクラッチしながら落とす。
 同時に左操向レバーだけを引ききって、アクセル全開、乱暴にクラッチをつなぐ。
 ホラー号は、まるで左履帯の先端に軸でもあるかのように回る。
 180度回りきる直前で、操縦手は引いていた左レバーをスパッと戻す。
 そのまま、スタ公とすれ違うようにダッシュ。後ろにでたところでもう一度スピンターン。
 そのものすごいGのなかで、装てん手は笑って次弾を保持していた。
 すでに標的の位置に当たりを付けていた砲手は、照準器を微調整しただけでスタ公を捕捉。

「うしろの正面だぁれっと。やっちまえ!」

 12秒間に放たれた3発の砲弾は、2発が車体後部に命中。
 ドイツ戦車と逆の向きに傾斜がついているスタ公は、撃ち降ろされる形になった徹甲弾を直角に近い角度で受けてしまう。
 ソ連戦車に共通の弱点を突かれたスタ公は、あっさり白旗を揚げてしまった。



 直径5kmの巨大なコロッセオの内側、一辺2kmの正方形がバトルフィールドになっている。
 そのフィールドは、アクリル樹脂とポリカーボネイト、ポリウレタンの積層構造をもつ
厚さ50cmの防弾透明樹脂板で囲まれている。

 ホラー号が1両で5両を食ったのとは反対側の辺では、残り5両の女性軍が男どもに
砲撃戦を仕掛けていた。

「素人め! 間合いが遠い。かな」

 男どもは昼飯の角度で、1,800mかなたから撃ち出される2ポンドや37mmがこちらに向かって飛んでくるのを、笑いながら眺めている。

「マチルダさーん、か。
 正面だけは堅いからやっかいだねえ」

 などとほざきながら、ゲラゲラ笑う男たち。
 相手が格の違う相手を前にして、いきなりトリガーハッピーになったのを面白がっている。

「んじゃ、そろそろガールズを教育し
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