これが漢の戦車道 B
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た。
それから社会保険料、源泉徴収、寮費、食費を引いたらマイナス1万円だ」
そうだった。悪魔どもに賞金の半額を分ける約束だった。
いまのいままですっかり忘れていた鹿次だった。
「払え」
「うっ……」
「といいたいところだが、俺が代わりに払ってやったから恩に着ろ」
ちょっと待ってと、鹿次は言いたかった。
だって、戦果割りの賞金が500万円あったでしょうよ。
「あの、それじゃ俺10万しかもらえないんですか?」
「そうだ、副操縦手は戦果割り無しだ。ド新人なんだからよ。
4人乗りの戦車なら、おめえの席なんかないんだぜ。
乗れるだけでも感謝しろ」
それだけ言って、戦争親父はドスドスと歩き去っていった。
そして今日の終業整備は、鹿次一人でやることとなっていた。
あとの4人は、賞金をふところに、飲みに繰り出していった。
鹿次がひとりで戦車の点検をしていると、ニコニコ社長がやってきた。
「やあ。初陣の感想はどうでしたか?」
鹿次は、元気なくうなだれて、今日のいきさつを話した。
「まあ、しょうがないですよ。誰でも通る道です。
戦果をあげて、早く偉くなってくださいね」
「……ひとつ、聞きたいことがあるんですが」
「なんですか?」
あんなボロクソ負けを喫した女子側は、どれだけ賞金がもらえるのだろう。
ぜひ、全然もらえないという答えが聞きたかった鹿次に、社長は冷酷な事実を告げた。
「えーとね。参加だけでひとり百万円。撃破されなければチーム全体で一千万円。
ただし女子側が無気力試合を宣告されたら、男女とも賞金なしだよ」
なんなんだ、その扱いの差は。
思わず怒り心頭で鹿次は社長に詰め寄る。
不意に社長の顔から笑みが消え、三白眼の仁王様に変貌した。
そしてドスの利いた声で、噛んで含めるように語り始めた。
「テメエ、ざけてんじゃねえぞ。
アダルトビデオだって女優のギャラは百万単位、だが男優は数万円だ。
そんだけおひねりはずまなかったら、女子が男子と戦うわけねえだろ。
客だって、女子戦車乗りがかわいらしくやられるところが見てえんだ。
寝言はクソして寝てからほざけ」
そして鹿次は社長から顔面をグーで殴られるというボーナスをいただいた。
そうこうして、鹿次もすでに何試合かこなした。
あまりにも女子がふがいないので、鹿次は「こんなものにあこがれていたのかな」と疑問を感じ始めていた。
しかし、彼に関してだけは、そうは問屋が卸さなかった。
その日、戦争親父は久々にキャンプに来た梵野社長と何かこみいった話をしていた。
午後になって戦争親父は、梵野
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