これが漢の戦車道 B
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
1,000mまで進出した。もう掩護はいいぞ』
「だとよ。全員これからお昼寝タイムだ」
そして、ホラー号は全員そろって、いや、鹿次をのぞいて居眠りを始めてしまった。
鹿次はひとり、気が気ではなかった。
「本当に、大丈夫かよ」
まあ、戦度胸の問題だろう。
もう見切っているといってもいいかもしれない。
それにすでに彼らは敵軍の半分を食っている。
「よーし。これで終わりだな。
弾種高速。目標マチルダU!」
2両のシャーマンは高速撤甲弾を、ラム巡航戦車は6ポンド用特殊徹甲弾を装てんする。
狙うは、3両のマチルダU。スチュアートはアウト・オブ・眼中だ。
「これじゃ射的遊びでしかねーな」
砲手たちはみな、1,000mなら直径2mの円の中に当てることができる連中ばかりだ。
そしてシャーマンでも2ポンドくらいの豆鉄砲は防ぐことができる。
可哀想なシャーマンは同時期にティーガーがいたことと、指揮官に恵まれなかったせいで「ザコ兵器やられメカ」の代名詞になってしまったが、エイブラムズのような優秀な将軍に率いられれば、数を武器にドイツ戦車をタコ殴りにもできるのだ。
……そんな装甲指揮官は、エイブラムスしかいなかったというだけの話だ。
いま、彼が理想と思ったろうアメリカ戦車に、彼の名前がついている。
その戦車は砂漠からわらわら湧いてきたT-72Mという粗悪兵器を、まるでティーガーの再来のようにボコボコにたたきのめしたのだった。
彼我の距離が1,000mを切ったところで、3両の中戦車は昼飯の角度で停止した。
ウスノロのマチルダUがいくらのそのそ回避運動をしていても、偏差射撃の必要もない。
砲手たちは車体の動揺がおさまるのを待って、一呼吸おいてから一斉に撃った。
3両のマチルダUが瞬殺され、T-50が満を持して2両の絶賛パニック中のM5A1に襲いかかる。
そしておいしくいただこうとする直前に、主審のホイッスルが鳴りひびく。
時間切れだ。
T-50は、まったく戦果なしになってしまった。合掌。
今日のファイトマネーは参加均等割10万円+戦果賞金の配当になった。
重戦車1両、巡航戦車4両を食ったホラー号は、チーム賞金500万円となる。
戦争親父が、日本中央競戦車会の競技用事務所から、賞金の入った封筒を持って帰ってきた。
初めての賞金に、わくわくを押さえきれない鹿次。
戦争親父がまず自分の分の金を懐に入れ、順繰りに僚友たちに賞金の分け前をわたす。
そしてなぜか、鹿次には一銭もくれなかった。
「車長。俺の分の賞金は?」
「お前はなぜか賞金が差し押さえになっている。
まず半額の5万円が、そっちに供託され
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ