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嗤うせぇるすガキども
これが漢の戦車道 A
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「おい。ペリスコープだけじゃなく、ハッチからツラだせ。横着するな!」

 んなこといわれても、鹿次にとっては初めての戦場だ。
 怖くて当然だろう。
 そしてほどなく、車長のいったとおりIS-3のぺったんこの特徴ある車体が、別に隠ぺいもハルダウンもせずに芸もなく待ち伏せているのを見ることになる。

「ぜ、前方700、スターリンです」

 これなら素人同然の鹿次でも楽勝で見つけられる。
 つまり車体が大きすぎ、何回もスイッチバックをくり返して地形にかくれようとしていたが、もたもたしてるうちにホラー号に発見されてしまったということらしい。
 女性は車の運転も苦手だ。そうでなければ女性のF-1レーサーがごろごろしているだろう。

「おい、新入り。
 スターリンの砲口が真っ黒な円になったら教えろ」

 操縦士のモヒカン頭が鹿次にそんな指示を与える。
 ホラー号はスタ公目指してまっすぐ進んでいない。
 実は勢子の連中にわからない程度の角度をつけている。
 勢子のクルセイダーどもは、別に意図して進路妨害のための射撃をくり返しているのではなく、マジで当てようと焦っているようだ。
 あえて進路妨害のために外すなどという器用なまねをしようとしたら、砲弾が明後日に飛ぶ。

「真っ黒な丸になりました」

 鹿次が叫んだ。零距離なら命中する可能性大ということなのだが、鹿次にはわからない。
 戦争親父が操縦手に合図を送る。

「ころあいだな。今だ!」
「了解。急制動」

 操縦士がクラッチを切って、操向レバーを両方とも一気に手前に引く。
 戦車は装軌車だから、ものすごい短制動が可能だ。
 観客席からはそれまで走っていたホラー号がいきなり動かなくなったように見えた。
 中では鹿次だけが、顔面を装甲にぶつけてうめいていた。

 スターリンの中では、照準器で追尾していたはずの目標が静止したのを見て、砲手がチャンスとばかり、車長の指示を待たずに撃ってしまった。
 車長が「待ちなさい!」と叫んだが、もはや遅かった。

 勢子の中のクルセイダーの1両が、急停止したホラー号に驚いて、咄嗟回避を試みる。
 しかし、事故回避の鉄則は「ハンドルより先にブレーキ」だ。
 速度を落とさずコーナリングで左にかわそうとしたクルセイダーは、逆に右旋回した。
 あわてた操縦手は、今度は逆の入力をしてリカバリーしようとする。それも悪手だ。
 結果、まるで雨の高速道路でスピンを続ける観光バスのように蛇行しながら、クルセイダーはホラー号の前に出てしまった。そして、スタ公の一撃を食らってしまった。

「きゃああああぁぁ!!」
「ふ、フレンドリーファイア?」

 スタ公の砲手は、自分が同士討ちをしてしまったという事実の前に、頭が沸
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