これが漢の戦車道 A
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
社長がベンツのハンドルについているリモコンボタンを押すと、戦車格納庫のシャッターが自動で上がり、中にはどうやらE8らしいシャーマンがあるのが見えた。
ベンツはそのまま格納庫の中に入っていく。
鹿次は、そのイージーエイトの砲身に白文字で「horror」と書かれているのを見た。
庫内のドラム缶やジェリカンには「軽油:火気厳禁」と書かれている。
おそらくシャーマンのなかでは唯一ディーゼルエンジンの「M4A2」がベースなのだろう。
二人はエンジンを止めたベンツから降りた。
社長が乗員らしい集団のところにいって、なにやら話している。
鹿次は戦車を見てぼやいた。
「なんだかなー。シャーマンの量産型もいいところじゃないか……」
「おい、おめえ。
ギャンブル戦車道では男チームはティア5までの戦車にしか乗れねえって知らねえのか?」
鹿次が後ろを振り向くと、そこには変態がいた。
身の丈195cm。もはやボディービルダーのようなガチムチの肉体に、赤いマントと赤ふんどし、赤い安全靴だけを身につけ、銅のさび色の長髪を首の後ろで無造作に結んだ鬼のような顔。
「俺がこの戦車の車長だ。これからは『戦争親父』と呼べ」
「戦争親父」は、鹿次に自分たちの興業について説明してくれた。
「対戦は男チーム5両対、女チーム10両の殲滅戦で行われる。時間制限は2時間だ。
女チームは車両のティアに制限はない」
それって、すでにハンデの域を超えてるんじゃないか。と鹿次は思った。
それで勝てるのは八百万の神々や世界中の軍神から加護を受けてるあんこうチームだけだ。
もっとも鹿次がそう思ったのは、女が戦車を動かすところしか見たことがないからでもある。
「知ってんだろ? それでも俺たちは勝ち越すんだよ。
女子プロチームの一軍相手ならガチ勝負になるかもしれねえがな。
そんだけ女ってのは生物として弱い。
下手に高いティアの戦車なんか乗ったら、装てん速度がすぐに1分間に2発とかになる。
まあ、乗車前整備で半分くたばってるからな。
ガスアモ搭載は、俺たちにとっちゃ準備運動だがな」
女であっても基本となることは、乗員自らやらなければならないのは現役戦車兵と同じだ。
当然始業点検や、履帯のチェック、エンジンまわりも同じだろう。
「で、機械に弱いから、調子の悪いところもわからんし、整備も雑だ。
だから履帯切断とか、オイル劣化でエンジン壊して自滅とかもよくある。
サスペンションなんか動きの渋い戦車ばかりだ」
更にいえば「戦い」に関係するのはフィジカルだけじゃない。
「その上士気が低い。すぐにへこたれたりパニックになったりする。
作戦
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ