ペルソナ3
1993話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
美鶴の口から漏れた、制御剤という言葉。
それを聞き……だが、俺は首を傾げる事しか出来ない。
そもそも、制御剤ってのが何なのかが分からない以上、こちらとしてはどうしようもないというのが本音だ。
「悪いが、俺はその制御剤ってのが何なのかが、まず分からない。……ゆかりは?」
「私も初めて聞く名前ね。ただ、制御剤という名前である以上、何かを制御する為のものだとは思うんだけど」
そう言い、ゆかりは意味ありげに俺の方を見る。
なるほど。ゆかり達のような存在で制御する必要があるものは、そう多くはない。
そして、荒垣のペルソナはその潜在能力の高さから暴走する事が多かった。
そうなれば、制御剤で制御する必要があるのは……
「ペルソナを制御する薬、か」
「そうだ」
予想以上にあっさりと、美鶴は俺の言葉に頷く。
だが、それでも疑問はある。
「そもそも、最近の荒垣はタルタロスで鍛えた影響もあって、カストールを暴走させるような事はなかった筈だ。なのに、何で制御剤なんて薬を飲む必要がある?」
「最近は飲んじゃいねよ。これは……前に飲んでいた分の副作用だ」
「……副作用があるのか? いやまぁ、薬というのは必ず何らかの副作用があるというのは知ってるが」
この辺りの話は、レモンから聞いたものだ。
レモンはこの手の知識に関しては、他の追随を許さないだけのものを持ってるしな。
そのレモンが言うのであれば、恐らく間違いはない……筈だと思う。
「そうだ。それも市販の薬とは比べものにならない程の……それこそ、命に関わるレベルでの副作用がある」
「……ほう」
制御剤を飲んでいたというだけであれば、俺も特にそこまで気にする必要はなかっただろう。
だが、その制御剤の副作用が命に関わるとなれば、話は別だ。
「それは事実か?」
「……ああ」
俺の問いに、荒垣は若干の沈黙の後で頷いた。
「今は、飲んでないんだな?」
「そうだ。アルマーのおかげで、カストールをきちんと制御出来るようになったしな。今はもう飲んでねえ。これは本当だ」
「……馬鹿が」
荒垣の言葉に短く返したのは、真田だ。
まぁ、真田にとって荒垣というのは、幼馴染みだ。
そうである以上、真田にとっては荒垣の取った行為……命に関わりかねない副作用のある制御剤を飲んでいたというのが、許せなかったのだろう。
「そもそも、だ。制御剤はエルゴ研で作られた薬で、普通に買おうと思っても買う事は出来ない。ましてや、今のエルゴ研は昔と違って非人道的な実験の類はしていない。だというのに、お前はこの制御剤をどこから手に入れた?」
「……」
美鶴の言葉に対し、無言で返す荒垣。
もう作られていないその制御剤という薬を、
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ