ペルソナ3
1993話
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薬が頻繁に見つかるこの世界においても、非常に希少価値を持っているのは明らかだ。
それを使うのだから、説明した通り、荒垣は俺に対して非常に大きな貸しを作る事になるだろう。
それをこうしてきちんと口に出しておくという事は、細かいようにも思えるが……荒垣の性格を考えれば、寧ろこっちの方がいいだろう。
だが、寧ろ荒垣の性格を考えると、俺に借りを作るような真似をしてまで生き延びたいのかと言えば、どうだろうな。
「分かった。この借りは何があっても返す。だから、そのイクシールだったか? それを俺にくれ」
「……へぇ」
てっきり断るものだとばかり思っていたし、もしどうしてもイクシールを使うにしても、ある程度悩んでから受け取るのだと思っていたが……
「どうした?」
荒垣の言葉に、俺は首を横に振る。
「いや、まさかこうもあっさりと俺から魔法薬を貰うとは思っていなかったからな。言っておくが、仲間だからってこれだけの貴重な、そして稀少な魔法薬を使わせても、なあなあで済ませるという事はないぞ?」
俺と荒垣は仲間だが、そこに妙な甘えを持ってくるというのは、俺だけではなく荒垣の為にもならない。
だが、荒垣の様子を見る限りでは、それを承知の上であっさりとこっちの思惑に乗ってきたように思える。
「ふんっ、そうだな。少し前までなら、俺もアルマーの言葉に頷くような事はなかっただろうよ。だが……今はそうも言ってられなくなった。死ねなくなったんだよ、今の俺は」
その目にあるのは、諦観ではなく強い決意。
……俺とゆかりが来るまでの短い時間に何かあったのか? それとも、意識不明にか?
ともあれ、そんな荒垣の様子を見れば、俺もその意思を尊重せざるを得ない。
「……飲め。一気にだ」
そう告げ、荒垣にイクシールの入っている瓶を渡す。
それを見た荒垣は、一瞬の躊躇いもなくイクシールを口に運ぶのだった。
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