ペルソナ3
1993話
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何故か荒垣が持っていた。
それは不思議に思う。思うが……
「結局のところ、薬だろ? 薬剤師とかに現物を渡せば、それを分析して同じ薬を作れるんじゃないか?」
「無理だ。制御剤を作るには、シャドウや影時間を研究する事で得た技術が必要になる。例えその辺の薬剤師や研究所に持っていっても、鍵となる部分が分からなければどうしようもない」
なるほど。どうやら話を聞く限りでは、かなり厄介な薬らしい。
ともあれ、影時間関係の技術が必要になるというのであれば、美鶴が言ってるように簡単にどうにかする……という訳にはいかないだろう。
そうなると、当然のようにその薬の出所は桐条グループとかになる訳で……幾月か?
そう思うも、桐条グループの不正を全て幾月のせいにするというのは、正直どうかという思いがある。
実際、もし幾月が制御剤を作るなんて派手な動きをしていれば、それこそ武治が調べさせている部署がその辺りをしっかりと把握するだろう。
だとすれば、幾月とは別口の裏切り者がいるという事になる。
……まぁ、桐条グループの規模を考えれば、裏切り者が他にもいるというのはおかしな話ではないだろうが。
まさか、桐条グループに所属している全員が清廉潔白……などと思う程に、性善説を信じてはいない。
どのみち、武治の仕事がまた忙しくなるのは確定、か。
「シンジ、言え。制御剤なんて薬をどこで手に入れた」
「……」
真田がそう言っても、荒垣が返事をする様子はない。
この2人は幼馴染みである以上、気心も知れている筈だ。
だというのにそんな真田に何も言わないという事は、相応に根の深い話って事か?
そんな疑問を抱きつつ、俺は改めて荒垣に尋ねる。
「そもそも、今のお前はもうペルソナを完全に制御出来ているだろ? なら、その制御剤はもう飲んでないんだな?」
「ああ」
こちらには、予想外にあっさりと返事をしてくる。
なるほど。今は飲んでいないのか。それなら、まだ最悪という程はない……のか?
「でも、じゃあ、何で荒垣さんが意識を失うなんて事になるの?」
「……副作用だ。薬は飲んでないが、だからって今まで飲んできた薬の副作用が消える訳じゃねえ」
「時間をおいても、その副作用は出てくるって事か。また、厄介な」
荒垣の言葉に、そう呟く。
麻薬……とまではいかないが、それでも身体にかなりの悪影響があるような薬なのは、間違いないのだ。
であれば、その副作用をどうにかする必要がある。
「この病院でどうにか出来るのか?」
美鶴に尋ねるも、返ってきたのは首を横に振るという行為。
「駄目だ。副作用の影響がかなり出ている。今の桐条グループの持つ技術では、完全に治癒するような真似は出来ない」
「……そ
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