【義理チョコと蕎麦打ち返し】
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分で食べるから……」
「いえ……、残りはあとで頂きますので、貰っておきます」
ネジは口元を覆ったままで、ハナビの持つ残りの激辛チョコ入りの小箱を受け取った。
「ほんとにいいの? 何なら捨てちゃってもいいんだからね」
「そんな事はしません、一気に食べるのはさすがに無理がありますが……あとできちんと頂きます。──では、これで失礼します、ハナビ様」
ネジは涙目のまま、サッとその場をあとにした。
(水……早く飲みたかったんじゃないかな……。ちょっと悪いことしちゃったけど、まあいっか。手作りチョコ渡せたし……。お返しっていうの、してくれるかなぁ、ネジ兄さま)
─────────
「──ねぇ兄さま、お返しは〜っ?」
「は…? 何の事です」
ハナビの唐突な言葉に、キョトンとするネジ。
「バレンタインの……お返しってやつ」
「……そんなものありましたっけ」
従兄が素知らぬ顔をするので、ハナビは機嫌を損ねたふくれっ面でそっぽを向く。
「ふーんだ、いいよ別にっ」
「──何か、欲しい物でもあるんですか?」
ネジは仕方ないと言わんばかりに小さく溜め息をついてハナビの要望を聞く。
「そりゃそうでしょ、わたし手作りチョコ兄さまに作ったんだし、何かネジ兄さまの手作りが欲しいってゆうか……」
「それは、あなたの宗家としての命令ですか」
無表情に述べるネジが、ハナビには一瞬酷く他人に思えたのが嫌で、その言葉を否定するように声を高める。
「そんなんじゃない! 兄さまの、従妹として言ってるの」
「フ……そうですか。では……俺の手打ち蕎麦でも食べますか?」
ネジはハナビに、ふと微笑した。
「えっ、渋っ! 手作りお菓子とかじゃないの?」
「……嫌なら作りません」
従兄に微笑まれて顔が熱くなったのを誤魔化すように、ハナビが嬉しい気持ちとは裏腹に不満げな事を言ったのに対し、ネジは途端に仏頂面になって顔を背ける。
「た、食べる! 食べたいっ、ネジ兄さまの手打ち蕎麦!」
「──ならば離れの俺の家へどうぞ。作る所を始めからお見せしますよ」
ドヤ顔ともとれるネジに、ハナビは期待が高まるのを感じた。
「わぁ……本格的だねぇ。蕎麦打ちなんてどうやって覚えたのっ?」
ネジの家に招かれたハナビは、蕎麦打ち専用の道具とネジの手際の良さに目を見張る。
「ニシン蕎麦が好きなのが高じて……、自分で一から作ってみたいと思うようになり、贔屓にしている蕎麦屋の店主に直々に教わったんですよ」
「ネジ兄さまって、凝り性だねぇ……」
「蕎麦打ちは時間との勝負です。打ちたて、
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