親子(?)の食卓
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口の周りがクリームソースだらけだ。
『あぁもう……美人が台無しですよ?』
そう言いながらナプキンでジャービスの口を拭ってやる金剛は、とても母性愛に溢れて見えて、うっかりまた惚れ直しそうになった。艦娘であるが故に子供が出来ない事を金剛は悩んでいたようだが、思い切って養子という選択肢もアリなんじゃないか。目の前の光景を見ていると、何だかそんな気さえしてくる。
それから英国大使館からの迎えが来るまで1週間、ジャービスはウチの鎮守府で過ごした。よく食べ、よく遊び、よく笑っていた。そんな楽しい時間を過ごしていれば、
「イ〜ヤ〜だ〜!」
帰りたく無くなるのは当然な訳で。大使館の職員の方々に必死の抵抗を見せている。でも、金剛のスカートの裾を掴んで引っ張るのは止めてやって欲しい。パンツ見えちゃうから。余談だが、駆逐艦達と話している内にジャービスは自然と日本語を覚えていた。
「ジャービス帰らないもん!」
「いや、そうは言ってもなぁ」
泣きながら帰りたくないとごねるジャービス。
「提督、こんなに嫌がっているジャービスたんを無理矢理返還しようというのか!?」
「はいはい、姉さんはあっちで大人しくしてましょうねー」
「あっ、こら、陸奥!耳を引っ張るな!取れる!取れてしまうぞ!」
やっぱり沸いて来やがったかながもん。そして陸奥がちょっと怖い。
「申し訳無い、まさかこんな事態になるとは……」
「いえ、何となくこうなるのでは、と予想はしていました」
大使館の職員に頭を下げると、苦笑いを浮かべながら1枚の書類を取り出して来た。目を通すと、それはジャービスをウチに正式に着任させる為の書類。
「カネシロ提督のお噂はかねがね。ジャービスがこの鎮守府を離れ難くなる事も予想して、本国とも話を着けておきました」
「こりゃまた、根回しのいい事で」
「いやいや、この程度。カネシロ提督と知り合えたこの縁が
収穫と思えば」
要するに、何かあったら今後ともよろしく……と言う事だ。ジャービスはその手付金のつもりだろう。多少胸糞の悪い物を感じるが、まぁそれくらいは飲み下してやろう。
「ってな訳で、改めてよろしくな?ジャービス」
「じゃあパパとママの側にこれからも居られるの!?」
「That's right!そう言う事デース!」
この母娘の笑顔には、替え難い。
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