巻ノ百二十八 真田丸の戦その二
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「兄上もどうやらです」
「もうこれは爆hにはつかれぬとか」
「思われている様ですし」
「ならばな」
「もう真田殿への調略は止めて」
「戦に専念するか若しくはな」
利常も鋭い顔になり政重に話した。
「他の御仁じゃ」
「他の将帥に仕掛けますか」
「若しくは兵達にな」
「兵達は次々と夜に城を出てこちらに加わっております」
大坂方の兵達はというのだ。
「城の中の士気はどうにも」
「振るわぬか」
「やはりそうかと」
「前からその話は出ておったがな」
「噂通りにです」
「士気がある者もおるな」
「それは確かな将に率いられている兵達だけです」
そうした者達に限られているというのだ。
「その左衛門佐や後藤殿、長曾我部殿といった」
「そうした御仁に率いられている者達の士気は高くてもじゃな」
「しかし多くの兵達は」
豊臣家の者達はともかく他から来た浪人達はというのだ。
「士気が振るいませぬ」
「そうか、ではな」
「はい、大御所様の言われる通り」
「ゆうるりと囲んでおくか」
「兵達の英気を養いつつ」
主従でこう話してだ、利常も政重も攻めるつもりはなかった。だがその彼等の陣中で不意におかしな動きがあった。
兵達即ち足軽達の中にだ、こんな噂が流れていたのだ。
「攻めるだと」
「そうらしい、明け方にはな」
「大坂城の出城を攻めよとのことじゃ」
「真田丸というあの出城をな」
「殿がそう言われているそうだ」
「いや、大御所様がらしいぞ」
こうした噂が出ていたのだ。
「それはまことか」
「まことらしい」
「すぐに戦にかかるべきじゃ」
「真田丸を攻めるぞ」
「そうするぞ」
こう話してだ、そのうえでだった。
彼等は不意に動き出した、しかも率いる騎馬の者達もいた。これは前田家だけでなく他の家の者達もだった。
動きだした、この動きを幸村は夜に聞いてだ。
そのうえでだ、確かな笑みを浮かべてさらに命じた。
「では築山に敵が砦を築こうとしておるな」
「次はですな」
「あの砦を焼く」
「そうしてですな」
「そこからさらに引き寄せるのですな」
「この真田丸に」
「そうじゃ、皆鉄砲と弓矢の用意をせよ」
この二つをというのだ。
「そしてじゃ」
「敵が来ればですな」
「散々に破る」
「そうするのですな」
「そうじゃ、そして敵軍を乱し惑わしている十勇士達はじゃ」
それぞれ敵兵に化けて分身まで使って各軍をしきりに煽り動かしている彼等はというと。
「この真田丸での戦が起こる時はじゃ」
「真田丸に戻り」
「そうしてですな」
「さらに攻めさせる」
「そうさせるのですな」
「そうじゃ」
手筈通りにそうさせるというのだ。
「よいな」
「はい、わかり申した」
「
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