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儚き想い、されど永遠の想い
47部分:第四話 はじまりその十一
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第四話 はじまりその十一

「そう、最もです」
「だから。対立や因果は」
「そういったものは氷です」
「氷なのかい」
「はい、凍て付いた氷なのです」
 そうしたものだというのだった。
「氷は。溶けるものですね」
「そう、暖かさの前に」
「簡単に溶けるものです」
 氷、つまり対立や因果はそうしたものだというのである。
 そう位置付けてだ。佐藤は義正にさらに話す。
「そしてその溶かすものは」
「それは」
「太陽です」
 それだというのである。
「即ちそれは」
「愛だね」
「はい、愛は何もかも、この世の醜いものやしがらみをです」
「溶かしてしまう」
「そうして溶けたものは」
 その対立や因果のことに他ならない。
「後には何も残しません」
「何一つとして」
「はい、残るのは暖かさだけです」
 それこそがというのである。
「愛こそがです」
「この世に残るもの」
「この世に残るに値するものです」
「そうか。愛こそが」
「幸せこそがです」
 こうも言い換えるがだ。指し示しているものは同じだった。
 そしてその同じものを見ながら。彼は話すのだった。
「旦那様もです」
「僕も」
「愛を。手に入れられたら」
「そうしたら?」
「その時は下らないしがらみに負けないで下さい」
 彼の事情は知らなかった。だがこう言うのだった。
「御l願いしますね」
「そうだね。それじゃあ」
「はい、それでは」
「そうするよ」
 微笑んで答えた彼だった。
「是非ね。そうさせてもらうよ」
「そうして頂けるならば」
 彼自身はどうするか。佐藤はそのことも話していく。
「私も。及ばずながら」
「力になってくれるんだね」
「そうさせてもらいます」
 佐藤も微笑みになる。そのうえでの言葉だった。
「その時にはです」
「有り難う。それなら」
「しかし。あれですね」
 佐藤はここまで話すと照れ笑いになった。そうしてだ。
 その照れ笑いでだ。彼はこんなことも話した。
「私も随分と」
「随分と?」
「ロマンチストと言うのでしょうか」
 その照れ笑いと共の言葉だった。
「それとも。感傷屋と言うのでしょうか」
「浪漫主義者かな」
「それなのですね」
「それじゃないかな」
 義正はこう彼に話すのだった。
「それだと思うけれど」
「浪漫主義ですか」
「同じ意味だろうけれどね」
「ロマンチストとですね」
「いや、少し違うかな」
 ロマン主義と浪漫主義、西洋と日本のその違いだというのだ。
「けれど。それでも」
「私はそれですか」
「浪漫主義かな」
 また佐藤に話すのだった。
「それじゃないかな」
「そうですか。浪漫主義ですか」
「僕もそうなるべきなんだね」
 自分自身もだ
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