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嗤うせぇるすガキども
今日も空は青かった(前編)
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 今日も空だけは青い。空だけは。



 小学生の時は、まだいろいろな夢を見ていた。
 夢の中の自分は、ヒーローだった。

 中学に上がると、人と人の間にはどうしようもない格差があることを知った。
 そして、異性という者を意識しだす。
 異性のことを思うと、自分の奥底にある衝動というものを感じる。
 女性のバストを食い入るように見つめている自分がいる。
 こっそりエロ本を買ってきては、ベッドの下に隠している自分。

 そして、14歳を過ぎるころ、女子たちも変貌し始める。
 いままで単なる同級生だったのが、どんどん欲求の対称に変わっていくのだ。
 自分の中の欲求と、いままでの「いい子」の自分がせめぎ合って、毎日が苦しくなる。
 でも、その頃はまだ良かった。
 未来は明るく、自分のエネルギーはまだあったから。明るい未来を信じることもできた。

 でも、そのころからだった。
 女子たちが男を二種類に分別しだすのは。
 片方には、親しく明るくふるまい、自分から話しかけ、ときにはいっしょに遊びに行き、バレンタインにはどんなチョコレートをプレゼントしようか悩む「上位カースト」
 それ以外は、もはや眼中にない、ただの「物体A」
 ちょっと話しかけようものなら、手ひどく追い払われる。

 さらにいうなら、数にして圧倒的に多いのは僕たち「生物学上の男」だった。
 日本人は三度の飯より争い事が好きで、前は10年に一度は戦争してたから、他の民族より男子出生率が大きい。
 最近では僕らの世代の三人に一人は「生涯独身」と言われている。
 つまり、男という生き物はこれから野生動物よろしく女の前で自分はすごいんだと証明しなくてはならなくなったんだ。
 命がけのいす取りゲームだ。
 
 そして、自分がヒーローでもなんでもなく、ただのモブキャラだと自覚するのもこのころ。
 ただの人間ならまだいいけど、どうやら僕は小学校の学芸会で「立っている木」の役を割り振られる方らしい。
 だからといって、もういろんなことで差がつき始めている「上位カースト」の連中に追いつき追い越そうなどという気にもなれなかった。
 だって、小学校の時からすでに、差がついているんだから。

 あきらめるスキルばかりが身についてしまった僕は、今日も深夜アニメの美少女たちを鑑賞し、それが終わったら、彼女たちを思い浮かべながらある「処理」をすましてから寝る。
 遺伝子は、残酷なんだそうだ。

 大人たちの世界では、離婚したシングルマザーとつきあった男が、邪魔とばかりに前の男との間にできた子どもを殺すという事件を、半月に一回は起こしている。
 これって野生動物のオスがメスに交尾を迫るため、養育中の仔を咬み殺すのと同じだね
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