466部分:第三十六話 遂に来たものその七
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第三十六話 遂に来たものその七
しかしそのクローバーは四葉だ。それを見せてだ。
義正はだ。真理にこう話すのだった。
「これは幸せのクローバーなのです」
「四葉のクローバーはですか」
「はい、ですからこれを貴女に」
渡すというのだ。その幸せをだ。
「どうぞ」
「有り難うございます。それでは」
「このクローバーが手に入ったということは」
「幸運が私達にですね」
「訪れます。必ず」
こう話すのだった。
「ですから。どうぞ」
「そうしてですね」
「桜ですね」
その幸運とは何か。義正は話した。
「それが訪れますね」
「そうですね。それがこのクローバーですね」
真理も言う。そしてクローバーを受け取りだ。
さらにだ。下に蒲公英も見て言うのだった。
「蒲公英もこうして」
「奇麗に咲いていますね」
「本当に。どの蒲公英も」
一つではなかった。緑の中に幾つも咲いている。それを見てだ。
こうも言うのだった。
「ささやかですが確かに咲いていて」
「いいものですね」
「それでなのですが」
義正はだ。ここでだった。
真理にだ。こんなことを話してきた。
「実は蒲公英は食べることもできます」
「そうなのですか」
「菊と同じ様にです」
「そういえば。菊もでしたね」
「薔薇もそうですが」
「それと同じくですか」
「はい、食べられるのです」
菊や薔薇と同じくだというのだ。
「実はそうなのです」
「初耳でした。蒲公英もだったのですか」
「春は食べられます」
こうも表現してみせる。しかし今はだ。
真理にだ。こう言うだけだった。
「ですが今は」
「この蒲公英を摘み取らずにですね」
「見ていたいと思います」
春自体をだ。そうしたいというのだ。
「そう思うのですが」
「そうですね。それでは」
真理も笑顔で頷きだ。義正の言葉を受け入れる。そうしてだ。
二人で見ていく。そのまま幸せの中で春を堪能していた。しかしだ。
急にだ。真理は咳込みはじめた。それを見てだ。
義正は彼女を抱きかかえた。そのうえでその背を。義幸の下のところをさする。何とかその咳を抑えようとしてだ。だがそれは叶わず。
真理は喀血した。しかもだ。
二度、三度と。何度も吐きだ。
口を抑えているその手を血で赤く染める。しかも染めただけではなく。
手からその血が溢れ出る。その血が緑の上に落ち緑を赤くしていく。これまでにない喀血だった。それが気の遠くなるまで続き。
そしてだった。彼女は意識を遠くしてだ。倒れ込んだのだった。その真理をだ。
義正は必死に抱き上げる。赤く染まるのを気にせずに。
そのまますぐに病院に向かう。真理を車に入れて自分で運転して。そして祈ったのだった。クローバ
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