相談-コンサルテイション-/part2
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、その重さを物語っていた。
「…いいさ。俺もお前たちから目を背けていた。簡単に許していいことじゃない。だから、謝るべきは俺の方だ」
シュウは首を横に振る。
本当は、わかっていた。自分を心配してくれる人たちの思いを無視することもまた悪いことなのだと。でも、自分の周りで次々と悲劇が起こる。悲劇を生みたくないと努力したのにそれらがことごとく裏目に出る。彼が贖罪と称して周りからの救いを拒否したくなるのも仕方なかったかもしれない。
「ティファニア…戦いを止めた今、俺はこの先何をすればいいのかわからない。暇つぶしに平賀の頼みごとを聞いてるのも、今の俺にはないからだ。夢も希望も…」
視線を落としながら、シュウは続けていった。
「アスカは、俺に『終わったなんて言ったらだめだ』って言っていたが…もう俺には、以前のように人を守るために戦ったり、それらに役立つ何かをする気力は…ない」
昔から願っていた。人の暮らしが豊かにしたい。誰かを守りたい。そのために幼い頃から、プロメテの子として研究と発明を繰り返した。そのはてに戦士としての鍛練も積んだ。でも…全てが思い通りに行くことはほとんどなかった。支えてくれる人たちが、傷つくばかり。
「今でも怖いんだ…俺が、誰かの平穏を乱すだけになることが…」
己の両手を見つめると、これまでの戦い、愛梨との死別、アスカとの別れの光景が頭を過り、それが彼の手を小刻みに震えさせた。
「言ったでしょ?もう戦うことをやめて、休めば、きっと…誰もあなたを狙わない。
全部忘れて…なんて言わないけど、一人で抱え込まないで?今まで助けてもらったんだもの。吐き出したくなったら、何でも言って?」
「…ありがとう」
シュウは、らしくなく誰かに甘さを見せていることに気づいていた。少年時代に新宿で最初のビースト、ザ・ワンによって死する人たちを、内戦地でセラたち現地の人たちを守れず、それで心が折れかけた自分を支えてくれた愛梨も失い、この世界でも自分を助けようとしてくれたアスカにただ守られ、何度も罪を重ねてきた自分が…こうして目の前にいる少女に甘えてしまう。
許されるはずがない…そう思っていても、度重なる地獄のような現実に、贖罪をかねた戦いに心が疲弊した彼に、この優しさと安らぎに満ちた時間を捨てるほどの気力はなかった。
「ねぇ、さっきから何のお話してるの?」
「子供には関係のないことだ。適当に流せ」
リシュが横から聞いてきたが、聞かせるのも面倒だし、まだ子供の彼女が理解するには時間がかかるに違いないので、シュウは突っぱねるように言った。リシュは不服そうに口を尖らせた。
「シュウ、ティファニア。ちょっといいか?さっき言い忘れてたことがあったんだけど」
すると、扉の向こうからノックする音が聞こえてきた。テファが「はい、どうぞ」と許可を出し、サイトが
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