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横須賀鎮守府の若き提督
プロローグ
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いる。これでは建造が出来ない。そのため、今すぐに遠征をしようと思う。長門、大和、妙高、電、時雨、赤城は敵陣の少し奥深くまで侵入し、資材を調達してこい。資材不足であるため、改二の使用は禁止。どんなことがあっても、資材を無駄にするな」


 こちらのことを一切振り向かずに提督から放たれた無理難題な命令に、そこに集められた艦娘達全員が困惑し、息を呑んだ。


「ま、待ってください! ......私達、いやここの鎮守府の殆どの艦娘達が度重なる出撃で疲労しています。食事も満足に取っておらず、万全な状態に程遠い調子にあります。......それに、私や赤城、電は既に中破しており、このまま出撃すれば......う"っ!?」

「「「「「......!?」」」」」

 必死な思いで進言していた長門の頬を、いつの間にか近づき、思い切り掌で叩いた提督。

 艦娘達が思わず恐怖に震え上がるなか、まるで虫を見るような目で、既にボロボロな艦娘達を睨み付けた。

「休暇? 食事? 治療? そのような時間を取る暇はない。お前らは艦娘、兵器なのだ。確かに銃のように兵器には整備は必要だろうが、それは一月に一回でいい。いいか? お前らに人権など存在しない。この鎮守府には、艦娘という兵器として登録されている。......それに、兵器ごときが上官の命令に歯向かうと言うのか? 今すぐ、解体してまた祖国のために沈んでいった海の藻屑になっていた『船』にしてやってもいいんだぞ? さっさと出撃し、日本の為に兵器としての使命を全うしてこい。この役立たず共が」

「「「「「「......っ」」」」」」

 こちらには有無を言わせる気がない提督の実力行使と脅迫が織り混ぜられた、二度目の無謀な命令に、時雨達は成す術もなく、そのまま執務室を立ち去った。


 ..................

 ............

 ......



(......こんなの、無理に決まってるよっ)

 段々と近付いてきてる気がする。

 もう、何分敵の攻撃に耐えなければならないのだろうか。

 長門や大和以外の、いやまともにまだ撃てる大和以外の砲撃は全くといって良いほど効かない。

 艦載機での爆撃や雷撃はことごとく敵艦載機に阻まれ、呆気なく撃ち落とされる。

 時雨と電の頼みの綱である魚雷は、敵戦艦や重巡によるアウトレンジからの砲撃で、魚雷の射程にそもそも入ることが出来ない。

 これが、正真正銘の詰み───ということなんだろうか。

「───うッ......」

「妙高っ! っ......大破」

 ついに、重巡妙高まで戦艦ル級flagshipによる強力な砲撃が命中してしまい、一気に轟沈寸前まで被害を与えられてしまう。


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