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Sword Art Online 無限の剣製
プロローグ終
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...、はぁ」

辿りついた。
辿りついてしまえば、あっけないものだった。
乱れた息を整えた。
それからぐっと前を見据えて、剣に手をかけた。
碧い柄を握りしめる。
その瞬間、わかってしまった。
いいや、本当のことを言うと、これを見つけた瞬間からわかっていたのかもしれなかった。
光る何か、ではなく剣であること。
その剣を、見た瞬間抜こうとすること。
そして、どう足掻いても抜けないということ。
ーーーーーーーでも。

「おお...!」

理屈ではなかった。
いや、そもそも理屈などなかった。

あるのは、ただこの剣を、抜かなければならない気がしたというだけ。

「おお...うおぉおっ!!!」

野太い声をあげる。
柄を握る手に、更に力を込める。
右手だけでは足りない。なら、左手も使う。
柄と右手の上から握る。
あまりに強すぎる力に、肉体が耐えられていなかった。
右手が潰れた。左手は甲の骨が砕けた。
食いしばって砕けた奥歯が、口の中に突き刺さって、血の味が広がっていた。
肩の骨が使い物にならなくなった。
それに伴い、手に、腕に、力が 入らなくなった。


銀色に輝く刀身に映る顔は、酷く醜かった。

でも大丈夫。
まだ大丈夫。

なぜなら、この体が砕けようと、意志は変わらない。抱いた理想も変わらない。
本音は曲げられない。自分勝手を止められない、
ーーーーーーーあの女の子は、助けなければはらない。























魔術回路はまだ、死んでいない。











「トレース、オンッ!!!」



ーーーーーーーーーーーーーうちなる力をもって、損傷部位を補強する!!


足は地面に張り付き、砕けた手の甲、肩の骨にコンクリートを流し込む。
それを“強化”で固める。そんなイメージ。
握った手のひらの血は、いつの間にか止まっていた。

剣は、まるで士郎を受け入れるかのように、輝く刀身を顕にした。
一瞬だけ全身に巡った“力”は、最初からなかったかのように消えていた。
あるのは輝く剣と、それを握る自分だけ。

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

体の至るところが軋んでいることが手に取るようにわかった。
さっきまで帯びていた熱のような物は既に消えていた。
その代わり、今度は予感がした。
ゲームというよりは、まるで夢だ。
脈絡や情緒、道程や過程。
そこに至るまでに起きる道すがらの出来事すべてに意味がなく、すべてに意味がある。
そんなふうに確信していた。

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