プロローグ終
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れる。
頭が、痛い。
「くそ、慎二のやつ。ろくに説明もしないで」
この頭痛はきっと、慣れないVR体験によるものだと、自分に言い聞かせる。
そうでもしないと、この世界に充満している悪臭......、いや。
それこそ、嫌悪感とでも言うものに、飲まれてしまいそうだった。
長居は、したくない。
この殺風景な世界も、臓物に響く悪臭も。
きっと全てが不快なんだろう。
けど、俺が抱いてる、この謎の嫌悪感の正体。
いいや。
この世界に入って最初に感じた、違和感。
言葉に出来ない、居心地の良さってやつだった。
そう、俺はこの世界を悪くないと思ってしまったんだ。こんな悪臭蔓延る殺風景な世界。
こんな世界を悪くないと、居心地がいいと、そう思ってしまったことが、不快だった。
空に、手を伸ばす。
開いた手を振り回せば、あの不可解な、謎に満ちた歯車を、この世界から盗み出せそうなきがした。
でも、それはきっと、しちゃいけないことだと感じた。
「なに、考えてんだ」
この世界にきて何度目かわからない独り言をこぼす。
誰にも届かない言葉。
でも、今は誰もいない、誰にも聞かれない、届かない。そんなこの世界に少し、感謝していたりもする。
「あぁーーーーーーーーーーーーーー」
ダメだ。
考えがまとまらない。さっきから俺は何を思っているんだ。
何を考えているんだ。
全てどうでもいいことのように聞こえるくせに、しかし、忘れてはいけない、重要なことのようにも思う。
頭の中がこんがらがって、何を思って何を感じればいいのか、わからなくなっていた。
いや、そもそもそんなことを頭で考えてる時点で、相当おかしいな。
無限とも言える、剣を眺める。
地平線の先まで続く、無数の剣。
担い手は、いない。
士郎はふと、そんな無数の剣の中に、1つ気になるものを見つけた。
小高い丘から、少し離れた位置。
金色に輝く、何かを見つけた。
さっきまで、そこにあっただろうか、とか。
なぜ、あれだけ輝いてるのだろうか、とか。
そんな疑問をおしのけ、立ち上がった。
最初は足元を確認するかのような速度で。そして小走りに。
しかし、次の瞬間には駆け出していた。
近づく度に頭が痛くなり、吐き気がした。
何度目の違和。何度目の疑問。何度目の謎。
この世界から早く抜け出したい。
あそこに辿りついて、あの金色に輝くーーーーーーーーーーーーーー剣を抜けば、居心地の良さの正体、違和感の起源、とめどなく溢れてくる、感情の渦。
それらを全て、払い除けてくれる。そんな気がした。
「はっ
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