プロローグ終
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慎二が奇声をあげてまで体験させてくれたせっかくのバーチャルリアリティなのだから、少しは楽しむとしよう。
そう思い、俺は大量にある剣の一つから、西洋風の馬鹿でかい剣に目をつける。
「お、」
簡単に地面から抜くことが出来た。
そのまま、片手で、難なく持ち上げ、肩に担いでみる。
「へぇ...」
思わず関心の声が漏れる。
柄の部分は少しザラザラしていて、大昔のグリップなのかもしれないと思わせるような加工が施されてあった。
あまりのリアルさに少し感動してしまった。
俺は馬鹿でかい西洋風の剣は丁寧に元の場所にさし直し、今度は少し歩いて日本刀らしきものを見つけ、引っこ抜く。
「おおっ」
刃渡り60cm程の刀を振り回す。
ゲームの世界なのだから剣が軽くても違和感はないのだが、この日本刀のようなものは、先程の西洋風のものより、圧倒的に軽かった。
あぁ、確かにさっきの剣も楽に抜いて振れてはいたが、なるほどこっちの剣と比べると違いがよくわかる。
西洋風の剣はブゥン。
日本刀らしき剣はフォン。
みたいな感じ。
「.........ふぅ」
俺はひとしきり剣を見て回ると、小高い丘に腰掛けた。......丘と言っても、剣がささりまくって殺風景なことにかわりはない。
相変わらずの悪臭に頭が痛くなるような錯覚はあるが、しかしそれを差し引いてもなかなかにロマン溢れる世界だった。
西洋風やら日本刀らしきやら、俺の知識が少ないせいで幾分か曖昧なのは勘弁してもらいたいのだが。
しかし、なんだろう。
知識が少ない上に、興味も特にないし、あまりゲームもしない俺なのだが。
しかし、それでも。
見渡す限り、無限に広がる剣の1つ1つには、本来いたであろう担い手の想いのようなものが再現されている、と、感じた。
あくまで、無趣味人間が直感的に感じたものなのだが。
「いや、それにしても、どうすればいいんだ、これ」
そう、確かにこの世界は凄い。
空一面を覆い尽くす巨大な歯車群、見渡す限りの地面に余すことなく突き刺さっている剣。それにこもる、担い手の想い。......のようなもの。
確かに、すごいんだが。
正直なところを言うと、俺はすでにこのゲームの世界に飽きていた。
探索型のゲームなのかと興味ついでに剣を触ったりしていたものの。
なんにも起こらない。
あるのはただの悪臭。
あるいは、謎の嫌悪感。
理由はわからない。
だが、衛宮士郎の直感が告げている。
ーーーーーーーこの世界に、長居はするな、と。
「あぁ、ダメだ、しっかりしろ」
あからさまにそう呟き、頭に浮かんでいる不安を忘
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