プロローグ終
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」
慎二は大きなため息をつくと、リンクスタートだ、とだけ言う。
瞬間、不思議と背筋に緊張が走る。
どこか気が引き締まるような感覚。
俺は、正体不明のその感覚に気づかないフリをする。
気付かないフリをして、唱える。
「リンク、スタート」
その言葉を口に出した瞬間、突然に、なんの前触れもなく、ソレは起こった。
ーーーーーーー眩い光の螺旋階段。
俺はそれを、登っている?
よく、わからない。
ぼろぼろの体で
傷つきながら
血を流し
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー見れば、俺の体には、無数の剣が突き刺さっている。
ーーーーーーーーーーーーーー慎二の声が聞こえる。
「衛み......かぇ...ぐしょ......」
しかし、慎二の声は、風の音にかき消される。
.........風?
まるで、誰の侵入も許さず、階段を上るのを拒むかのような突風が、気づけば吹き荒れていた。
俺はなぜ、のぼるのか。
痛みはない。
ーーーーーーー当たり前だ。
俺は座っていたはずだろう。
ーーーーーーーそんなわけがない。
ここから先は進むな。
ーーーーーーー絶対に嫌だ。
幾度の衛宮シロウの声がこだまする。
自分は、何者なのか。
自分は、どこに行こうとしているのか。
こののぼる階段の先に、なにがあるのか。
知りたい。
知りたい。
遠坂ではなく。
桜でもなく。
イリヤでもなく。
ほかの、誰でもなくーーーーーーー。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーそんなもの、有りはしない。」
声が、聞こえる。ゲームであることはとうに忘れていて、
全ての意味が、わからなかった。
「そんなもの、どこにも、有りはしない。」
その声は、俺を否定する。
今わかるのは、今起こっているすべての出来事を、今の衛宮士郎は知らないということだけ。
「求めるだけ無駄だ。ソレは貴様ではたどり着けない。」
俺は、気づかないふりをする。
登り続ける。
「この先に何があるか。何が待っているか。お前はそれを、知ることも出来ない。」
気づかない。
登り続ける。
「なぜ進む。止まらない。」
気づかない。
登り続ける。
「なぜ追い求める。ナニを追い求める。」
気づかない。
気づいてやらない。
なおも登り続ける。
「それは、お前には過ぎた夢だろう!」
..
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