463部分:第三十六話 遂に来たものその四
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第三十六話 遂に来たものその四
そしてその手にしているお握りを小さく食べてだ。こう話すのだった。
「私達が今していることは」
「ピクニックになるかどうかですか」
「それはどうなのでしょうか」
「おそらくは、ですが」
「なりますか」
「そう思います」
こう答えるのだった。
「私個人の考えですが」
「そうですか。今私達がしていることがピクニックなのですね」
「はい。家族揃ってますから」
「この子も」
二人の間に寝かしている。義幸も見た。
「家族だからこそですね」
「そうです。それでなのですが」
義正はここでだ。真理にこう話した。今彼が話すことはというと。
「卵焼きは如何でしょうか」
「これですね」
「美味しいですね」
厚くきつね色に焼きだ。小さく切った卵焼きだ。
重箱の中に置かれているそれを見てだ。真理は義正に答えた。
「実はまだです」
「召し上がられていなかったですか」
「お野菜を頂いていました」
そのだ。煮付けをだというのだ。
「それで今までは」
「では召し上がられるといいです」
義正は微笑んで述べた。そうしてからだ。
ふと。彼から見て右手を見る。そこの少し上になった場所にだ。
梅の花が咲いていた。赤いものもあれば白いものもある。それは小さく埋めの木々に咲き誇っている。その花達を見てだった。
義正はだ。真理にまた言うのだった。
「去年もそうでしたが」
「今年もですね」
「観ていて。心が清らかになります」
「そうですね。ここの梅達を観ていると」
「春ですね」
梅を観てだ。義正はこうも言った。
「春が来ました」
「そのことを教えてくれる花ですね、梅は」
「春は。梅と共にやって来て」
そしてだというのだ。
「桜を導いてくれます」
「その桜を」
「はい、私達が待ち望んでいるあの花もまた」
梅がだ。導いてくれるというのだ。
「そうしてくれます」
「では。今はこの梅達を観て」
「桜を待ちましょう」
こう真理に言ったのである。
「あと少しです」
「本当にそうですね」
真理もだ。義正の言葉に頷きだ。
そうしてだった。その梅達を観ていた。そしてだった。
その香りを感じた。そのうえでの言葉は。
「この香りは」
「はい、私にもかぐわってきました」
「春の香りですね」
梅の香り、それをそう捕らえたのである。
「まさにそれですね」
「はい。春が本当に来たと」
真理は心からの笑顔で義正に話す。
「実感できました」
「今ここで」
「ようやく」
この表現も出してのことだった。
「そうなりました」
「では」
梅の話からだ。そのうえでだ。
義正はだ。真理にこう提案したのだった。
「それでなのですが。お
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