ある作者未満読者以上の場合(後編)
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つく。
ちくしょう。オリ主がモテモテなのってこんなにむかつくとは。
「つづきまして、候補者二番。プラウダ風紀いいんかい?さん。ご入場ください」
アナウンスに促されて、暗幕をめくって一歩踏み出したとたん、喧噪はピタリとおさまる。
なんなんだよこの扱いの差は!
『よう、どうだね』
いつのまにか、後ろに例のガキンチョ天使がいる。
「なんだよこれ。俺が考えていないことだらけじゃねえかよ」
『見えてることがすべてじゃない。バックグラウンドでいろいろ動いているのは現実も同じ。
お前の小説は一人称だから特にそうだ。
それよりさっさと進めないと、話が終わらないぞ』
そ、それもそうだ。しかたねえ。
肩をいからせ、のしのしと大股で歩き出すと、静寂はボソボソ声にとって代わられる。
いかにも場違いの身の程知らずが、とでもいっていそうだ。
でも耐える。次は天国だから。
「えーと、ただいま集計結果がでま……した。
役員さん、機械にエラーはありませんね。
えっ、正常ですか。そうですか……」
何がでたんだ? まさか10点満点とか。
「あらためて発表します。
総合計0点、0点です。
調整、総合平均ともに0.00点!
文句なしの不合格でーす!!」
なんだそりゃー!!
そしてアリーナじゅうを揺り動かす「カ・エ・レ」コール。
向こうで大久保大和が「ふっ」と嗤って肩をすくめてやがる。
そしてチビガリがこっちに向かって歩いてくる。
「やーやーやー。前代未聞だね、れ・い・て・んなんて。
そんな君にはボッシュートぉー!!」
チビガリが叫ぶと、足元にまっ暗な穴が!
「うぎゃあああああぁぁぁぁ――……」
そうして、どこまでもつづくまっ暗な穴を、「プラウダ風紀いいんかい?」は真っ逆さまに落ちていった。
数日後
「プラウダ風紀いいんかい?」はあいかわらず部屋から出てこなかった。
食事に手を付けることもなく、冷蔵庫の中身が減ることもなかったが、家の人間は、誰一人として気にすることはなかった……。
『おい、もう偽装はやめろ。似合ってないぞ』
プラウダ風紀いいんかい?の部屋には、二人の人影があった。
しかし彼らには「影」というものがない。
『なによ6世。マスターのもとにはちゃんと一人分魂を送ったでしょ』
『あんな使えないものを送るなと仰せだ。今月分のお手当は減額だとさ』
中世の貴人が着るような服を着た、せいぜい10歳の男児の前で、「天使」はゆっくりと右腕を回転させる。
天使の扮装が取り除かれ、あとには黒い角、黒いしっぽに黒い羽の小悪魔がいた。
『ふーん。プラウダ風紀いいんかい?の小
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