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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第九十七話 クラーマー逃亡
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容易いわけです。
それに死んだところを誰も見ていない。死んだと19人の生き残りには知らせただけでも、
大いなる嘘になりますから、ラーケン中佐とリンツ少佐は名誉の自決というわけです。
巡航艦で戦死した事に成っている、ブルームハルト大尉以下90名も同じです」

ケスラーが説明をした。
何のことはない、巡航艦も無人であり、乗務員は全てダミーの軍籍で、グリンメルスハウゼンの部下達であった。無論指揮官も死んだことにしているだけである。
唯一関係ない乗員が輸送艦の19名で有り、彼等の証言が事件にリアルさをもたらしているのである。

「殿下、態々ラーケン、リンツ、ブルームハルトを選んだのは何故ですかな」
ケーフェンヒラーがニヤニヤしながら聞いてくる。
テレーゼは単にローゼンリッター関係の名前を見つけたから使っただけであるから適当である。
「適当に目に入った名前だからですよ」

「なるほど」
ケーフェンヒラーは面白くない答えにつまらなそうである。

「所で、クラーマーこそ良い面の皮じゃな」
「そうでありますな」
陛下の言葉にケーフェンヒラーとグリンメルスハウゼンが頷く。

「しかし、憲兵隊にも確りと草を仕込んでいたのね」
「ホホホ、このグリンメルスハウゼン抜かりはありませんぞ」
「見事じゃ」
「見事です」
「陛下、殿下ありがたき幸せ」

「しかし、クラーマーも叛徒も命からがら逃げてきた、ハルバッハ中佐が黒幕とは気がつかないでしょうな、暫くは監視をされるでしょうから動くのは4年ほど後でしょうな」
「それぐらいの期間は熟成期間ですから出世もしましょう」
「ほんに」

「しかし、クラーマーの情報は大丈夫であろうな?」
「お任せ下さい、戦いとは二歩三歩先を読むことでございます故、先に手を打ってあります」
「トールハンマーの射程は6.4光秒だって、そろそろ叛徒も気がつく頃だしね、死んだ情報を有効に活用しなきゃ駄目ですからね」

「明日は大騒ぎであろうな」
「放送が楽しみですな」
今までの4人にケーフェンヒラーを加えた、話し合いは続くのである。


帝国暦481年4月1日

 朝のニュースで、銀河帝国全土で様々な思いが交差した。
今まで臣民を苦しめてきた、憲兵隊の元副総監クラーマー中将が処刑寸前に元部下たちにより奪還されて同盟を僭称する叛徒共の元へ逃げ込んだと報道された。

巡航艦一隻が撃沈され90名が命を落としたことと、責任者が部下を庇い自決した事などが事細やかに報道され、自らの自決で部下を守った艦長達と、その願いを聞き入れた皇帝陛下の温情に比べると、平民の間に自分たちを苦しめてきた憲兵隊副総監を送り返さずに匿う、同盟に対する失望感と怨嗟が益々起こって言ったのである。
臣民は見事に魔女の誘導に
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