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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第33話 ヴァレリア湖での休息
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 暫くエステルさんと釣りをしていたが疲れてきたので俺は釣りを中断して竿を返しにいった。因みにエステルさんはまだ釣りを続けるらしい。


「やあリート君、釣りはもういいのかい?」


 テラスに向かうとそこで読書をしていたヨシュアさんに声をかけられた。


「あ、ヨシュアさん。はい、流石に疲れてきましたのでエステルさんには悪いですが休ませてもらう事にしました」
「そうか、それにしてもエステルってば楽しそうだったね。あんなにはしゃぐエステルは久しぶりに見たよ」
「そうなんですか?」
「うん、やっぱり父さんの事もあるからね。こうやってリフレッシュできる時に少しでも気を休めてくれるといいんだけど……」


 ヨシュアさんは心配そうな眼差しでエステルさんを見ていた。そうだよな、エステルさんもカシウスさんのことが心配なはずだ。ああやって気丈に振舞っていても不安で仕方ないはずなんだ、それをヨシュアさんは気が付いていた。


「ヨシュアさんはエステルさんの気持ちがよくわかるんですね、流石は姉弟ですね」
「……姉弟か」
「ヨシュアさん?」


 ヨシュアさんはどこか遠くを見つめるように空を見上げるとポツリと話し出した。


「リート君、僕はね、養子なんだ」
「養子……ですか?」
「うん、僕は11歳の時父さんに連れられてブライト家に来たんだ。それまでの自分が何をしていたのか記憶がなかった僕をエステルと父さんは温かく迎え入れてくれた……特にエステルは怯えていた僕をいつも引っ張ってくれたんだ、今の僕があるのはエステルのお陰だと言っても過言じゃないくらいにね」
「……大切なんですね、エステルさんの事が」
「そうだね、僕にとって何よりも大切な存在なんだ……でも時々思ってしまうんだ。過去の自分は何をしていたのかって……」
「過去の自分……」


 父さんが俺を拾ったのは大体2〜3歳位の時らしいが拾われる前の記憶はない。だから時々俺も考えてしまう、自分の過去の事を……


「父さんに聞いても話をそらされてしまうしもしかしたら自分は人には言えないような悪人だったんじゃないかなって思う事があるんだ。エステルは否定してくれたけどもしそうだったらと思うと不安でしかたないんだ……もしそうだったら僕がエステルの家族を名乗ってもいいのかって……」


 ヨシュアさんは乾いた笑みを浮かべながらそう話した。
 俺は猟兵だから戦場で人の命を奪ったり汚れ仕事をこなしてきたある種の悪の存在……今更自分の過去に何があっても正直動じないだろう。
 だがヨシュアさんは遊撃士というある種の正義の味方をしている善の存在だから純粋に遊撃士という職業に憧れを抱いているエステルさんと比べてしまい、もしかし
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