暁 〜小説投稿サイト〜
相談役毒蛙の日常
二十七日目
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
唐突に切り出した。

「なぁ…相談役。『自分』って何なんだろうな…」

「はぁ?」

「VRMMOの中なら、みんな仮面を被っていられる。
だけど、現実ではそうもいかない。
それで、唐突に、『自分は誰だろう?』って思うんだ」

「なんだなんだ?いきなりシリアスな話じゃん。
つか何?人生相談?普通年上にするヤツだろソレ」

「あぁ、すまない…だけど、そう思う事って無いか?」

『自分は誰だろう?』だと?

そんな物の答えは一つだ。

「cogito, ergo sum」

「え?」

「コギト、エルゴ、スム…
我思う、故に、我在り。
どこまで言っても自分は自分でしかない。
例え、名前が変わろうと、住む場所が変わろうと、年を取ろうと、今まで自分が積み重ねた物はそこにある」

手に持った酒瓶を口につけて、一気に煽る。

「お姫様はお前の事をパートナーとして選んだ。
ならあんたはお姫様のパートナーだ。
リー…直葉ちゃんはお前を兄と呼ぶ。
ならあんたは直葉ちゃんの兄でもある。
アンドリューはお前の事を客として迎えてくれる。
ならあんたはアンドリューの客でもある。
クラインはお前の事を戦友と言う。
ならあんたはクラインの戦友でもある。
俺はお前の事を、面白いヤツだと思ってる。
だからお前は、俺の友達でもある
さぁ、それでもお前は、『自分は誰だろう?』なんて抜かすのか?」

葵が、一時期悩んでいた。

俺と今まで通り友人でいたいと。

だけど、女として生まれてしまったアイツは悩んでいた。

『自分は誰なんだ』と…

だから、言った。

お前はお前だ。俺の親友だ。と…

いままで過ごした時が、お前を肯定する。と…

「キリト…いや、桐ヶ谷和人。
お前が過ごした年月が、お前を肯定する。
安心しろ、死んだら地獄の閻魔が浄破理の鏡を使って太鼓判を押してくれるさ」

「ははっ、まだ死ねないな」

「親より先に死んだら債の河原で石積みだぜ?」

どこぞの八九神さんみたいに。

「ああ、その心配はない。両親はもう他界してる」

…………………………

「ふぁ!?」

「どうしたトード?」

「いやいやいやいや!そんな軽く言ったらダメな話だろう!?
え!てかどういう事!?お前両親居るよな!?
翠さんと住んでるだろ!あのデカイ家に!」

一回だけ、一回だけキリトの家に行った事がある。

その時翠さん…キリトのお母さんが俺をみて『ついに和人にもリアルの友達が出来たのね…!』とか言って滅茶苦茶喜んでた。

俺がゲームで知り合った仲だと言っても『いいのよ!和人がお友達を家に呼ぶのなんて初めてですもの!』ってテンションアゲアゲだった。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ