第五話 闇の気配
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あの女の事だ。直撃する前にギリギリで回避し、そこら辺をのたうち回っていると思ったが…?
「逃げられたか、」
足元を見ると、そこには折れた数本のククリ刀のナイフと女の羽織っていたマントの残骸。
伏せてよく見ると…血の跡らしき形跡が残っている。ふむ…どうやら無傷では無いが、痛手は負わせたようだ。これを辿ればあの女の居場所が掴める。だが……。
「…時間か、」
投影していた右手は少しずつ消えていく。先程の戦闘で偽・螺旋剣Uと併用して使用した為、魔力が枯渇したのだろう。このまま追っても、あの女を捕らえるのは難しいか…。
「大丈夫ですか?」
タンっと空から地面を着地する音。そしてこの軽やかで軽快な動き、
「ラインハルトか?」
夕暮れを背に。この国、最強の騎士は現れた。
「お久しぶりです、エミヤ」
「その呼び方はやめろ。今の私の名は『アラヤ』だ」
「そうでしたね…申し訳ありません」
ラインハルトは頭を下げ謝罪してくる。
「それで、これは一体?」
「色々とあってな。そしてお前はいいタイミングで来てくれた」
エミヤ────アラヤは包帯巻きの下からニヤリと笑み浮かべ。
「腸狩りのエルザが現れた」
これまでの経緯を手短にラインハルトに説明し、状況を理解させるとラインハルトは「成程、状況は理解しました」と言って血の跡を辿っていく。
「相手はかなりの重傷のようですね。血の跡が酷くなっていく、」
「すぐにでも追いたいが、私は先程の戦闘で魔力切れでね。後のことは任せてもいいか?」
「分かりました。後のことはお任せ下さい」
ラインハルトは微笑みながら了承する。頼りになる奴だ。
「それでは私は腸狩りの後を追います、アラヤはここで待っていてください。助けを呼んできます」
そうしてラインハルトは去っていた。後のことはこれで大丈夫だろう。
問題は…あの腸狩りの目的が。
すれ違い様に、あの女は奇妙な事を言っていた。「この国から光を奪う、そして闇を奪うと」
この国の光と闇?
ここに来てから、もう何年も経つが…この国の光と闇を奪う、その真意は解らなかった。
光とは…まさか、ラインハルトの事か?
この国、最強の騎士を光と例えても理解は出来るが…では、闇とはなんだ?
────────まさか……。
脳裏に過ぎる。まさか、いや、もしそうなら…。
だが、今更そんな事をしてなんになる?
無意味な事だ。そんな事をしても誰も救われはしない。ましてや、それは人を不幸にする。
「シンシアの…光か、」
七つの光を、七つの呪いを、この世界から奪う気か?
それだけは、阻止しなくてはならない。
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