第五話 闇の気配
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「はい。そうです……」
するとバルガは「がっはっは」と笑い始めた。
「お主、ここが何処だが分からっておるな?」
「はい」
「ここは物騒な輩が多い。
一人で歩き回るのは危険だ。ワシの孫が帰ってきたら散歩がてら共にその友達とやらを探すのを手伝ってやろう」
「え、でも……」
「だが、タダでとは言わん」
バルガは少し悪い大人の顔になった。
「それなりの対価を要求する。だが、対価さえ払ってくれればお主の友人を見つけ出し無事にここから出してやろう」
突然の交渉だった。
だが、こちらとしても願ったり叶ったりの交渉にエミリアは悩むことは無く「解りました。お願いします」と言って頭を下げた。
「よしっ。交渉成立じゃ」
そう言ってニコやかな表情になったバルガは飲み終えていたジョッキに新たにミルクを注ぐ。
そのミルクは先程の水で薄めたものとは違い、本物のミルクだった。
「それはワシの奢りじゃ」
「あ、ありがとうございます」
「なに、遠慮するな。これも何かの縁じゃろう。それに……こんな所でエルフに出会えるとは思わんかった方からのう。話しかけてみるもんじゃ」
この人は、私の存在に気付いている。
いや、半分正解と言った所だが……それでもだ。この人は私の事を恐れてはいない。
「あの、なんで私に……」
気付けない筈のエミリアの存在に気付けた男は。
「なんでと言われて、ワシも亜人種だからとしか言えんな」
「そんな理由で?」
「十分な理由だと思うが、お主はそれで納得は出来ぬか?」
「………………」
「納得出来ぬならそれでもいい。
だが、ワシも巨人族の生き残りじゃ……お主の気持ちも理解できない訳ではない」
「たっだいま……」
その声はとても残念そうだった。
声から分かる、この主はとても疲れていると。そして、この女の子の名前を二人は知っている。
「「フェルト」ちゃん!」
そして互いの顔を「え?」と見比べるエミリアとバルガだった。
剣聖とは、剣の道を歩み。
奥義を極めた者を指す名称だ。
ただ、ひたすらに剣の道を極め、剣だけを振ってきた者達の総称であり、名誉の名でもある。
この世界の剣聖とは、先祖から受け継ぐものであり継承するものだ。
当代の剣聖 ラインハルト・ヴァン・アストレア。
初代剣聖レイドを超える力を持つ歴代最強の剣聖と呼ばれる青年は完璧超人だった。
自身の力に溺れることなく、慢心する事もない。
騎士の中の騎士と称され、その戦闘能力は一国の兵力さえも上回るとされている。
彼は、自身の力を自分の為ではなく、他者の為に使う。
誰かが助けを求めるならラインハルトは救いの
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