第五十四話
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バタリと倒れた。
その顔は、ものすごく安心しきった顔だった。
―医務室―
「…………おぉ、生きてる。」
俺は目を覚ました。何回か見たことある天上。どうやら、医務室らしい。
…………生きて、帰ってこれた。
俺はその事実を、素直に受け止めていた。
「…………こーゆーのは、木曾や春雨の時に起きるのが普通じゃないかい?」
声のした方を見ると、呆れきった顔をした時雨が居た。
「…………今何日だ?」
俺はそんな戯れ言を無視して、時雨に質問した。
「…………今は、九月二十日。あれから二日は経ってるよ。」
…………わぁお。そんなに経ってたか。
俺は自分の体を起こそうとして、気付いた。
自分の左腕が無いことに。
「…………あー、そーいや、そんなことしたっけな。」
あのとき、俺は自分の腕を切り落とした。何の躊躇も無かった。
あれで皆が助かるなら…………安い、と思った。
「…………提督が、君の義手を用意してくれるってさ。」
時雨は、下をうつ向きながら呟いた。
「ふぅん。あ、他の皆は無事か?」
途端―時雨が、俺の胸倉を掴んだ。
その目は、完全に怒りの色だった。
「…………皆無事だよ。君が一番重傷さ。」
そんな状況なのに時雨は、律儀に俺の質問に答えていた。
「分かったから離せ。なんで俺はお前に胸倉掴まれなきゃならねぇんだよ。」
時雨は、顔色を変えずに聞いてきた。
「春雨が……あれから、ずっと泣いてる。君の腕が無いことに泣いてる。自分のせいなんじゃ無いかと……泣いてる。」
時雨はそのまま続ける。
「木曾は……ずっと、考えてる。あそこでボクは気を失ってたけど、起こったことは全部聞いたさ。それで、君の行動について考えてる。」
ボクからも聞かせてくれと、時雨はこちらを見上げた。
「君は、なんでレ級に対して立ち向かえたんだい?」
「男だからだよ。」
即答だった。
「俺は男だからな……後ろに誰とはいえ、女の子が居るんだ。どんな腰ぬけでも、女の子が危なかったら立ち向かうさ。」
時雨は目を丸くしていた。そりゃあ、時
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