第四十五話 傾奇者その五
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「あそこまではでござるな」
「わしの稼いだ銭で贅沢してそれでいいぜよ」
「そうでござるか」
「自分で贅沢は楽しむがのう」
それでもというのだ。
「他人様犠牲にする贅沢なんぞはじゃ」
「興味がおありではないですか」
「わしはな、だからじゃ」
それでというのだ。
「遊郭で楽しんで充分ぜよ」
「安いと見るべきか高いと見るべきか」
「わしは満足してるからいいぜよ」
自分の言葉に考える顔になった智に答えた。
「それで充分ぜよ」
「左様でござるか」
「昨日は両手に花、酒に刺身に最高だったぜよ」
その楽しんだ状況のことも話す当季だった。
「もう満足ぜよ」
「女は二人だったか」
英雄はそこに反応して彼に言った。
「そうだったのか」
「そうぜよ」
「俺は三人だったがな、そして一晩だ」
「おまん、それはまっことぜよ」
「それがどうかしたか」
「おまん色豪じゃな」
「この連中にも言われた」
良太達を目で見回しつつ当季に答えた。
「そうな」
「わしもそう思うぜよ」
「俺はそちらの道の才能があるか」
「わしはとてもぜよ」
「三人はか」
「二人が限度ぜよ」
当季は笑って英雄に答えた。
「昨日のそれで」
「そうなのか、俺はどうもだ」
「まさかと思うが」
「四人も五人もだ」
三人からさらに増やしてもというのだ。
「いけるな」
「そりゃまっこと凄いぜよ」
「どうもそうしたことは得意らしい」
「じゃあ子供も多くなるぜよ」
「結婚するなら一人だ」
英雄は子供についてはあっさりと答えた。
「だから生まれる子供も多くない筈だ」
「かみさん一人とか」
「そのつもりだ、これは遊びだ」
遊郭でのそれはというのだ。
「そう割り切っているつもりだ」
「愛情ではないんじゃな」
「嫌いではないが一生涯いる相手か」
「そう言われると違うのう」
遊郭で遊ぶ女はとだ、当季もこう返した。
「遊郭はそうした場所ぜよ、身請けがあるにしても」
「それでもだな」
「そうした場所ぜよ、遊ぶ場所ぜよ」
「だから遊郭だ」
文字通りそうしたものだというのだ。
「そう思うがな、俺は」
「だからかみさんを貰ってもじゃな」
「その時は一人だ、ついでに言うが愛人にも興味はない」
「ただ遊ぶだけじゃな」
「浮気や不倫で揉めるのは嫌いだ、親戚でそうした馬鹿がいた」
「どんな人じゃ、その人」
「酒と女と博打に溺れてな」
英雄は当季にその親戚、浮気だの不倫だので揉めた者の話もした。もっとも浮気と不倫の違いなぞないと内心思って語ってはいた。
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