第四十五話 傾奇者その三
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「それはあんた達もわかってるじゃろ」
「だからあんたを誘いに来てだ」
英雄は男に冷静な顔で答えた。
「そうしてだ」
「他にもじゃな」
「十二人いる、全員誘いをかけて入れてだ」
「それからじゃな」
「一つの勢力を築いてだ」
「戦をはじめていって」
「島を統一する」
この東の島をというのだ。
「そのうえでだ」
「魔神もじゃな」
「倒す、そう考えている」
「わかった、ほなじゃ」
「共にか」
「わしは一回言ったことは変えんぜよ」
ここでも笑って言う男だった。
「だからぜよ」
「俺達と一緒に行くか」
「そうするぜよ、あとわしの名前じゃが」
「何という」
「池辺当季じゃ」
こう名乗った。
「あっちの世界では八条大学体育学部の二回生、陸上をやっとるわ」
「陸上ですか」
「そうじゃ、マラソンじゃ」
良太にも答えた。
「それじゃ」
「そうですか、マラソンの選手ですから」
「そうしとるわ、あと体育学自体も学んどるわ」
ただマラソンをするだけでなくというのだ。
「そうしとるわ」
「そうなのですか」
「そうじゃ、そしてじゃ」
さらに話す当季だった。
「わしの武器じゃが」
「何だ、それは」
「片鎌槍じゃ」
それだとだ、当季は英雄に答えた。
「それじゃ」
「確かその槍は」
片鎌槍と聞いてだ、言ったのは謙二だった。
「加藤清正公の」
「ああ、清正公さんのな」
「その槍ですね」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「わしのおかんのお祖父ちゃんの出身がそっちのせいかのう」
「片鎌槍なのですか」
「それを使ってるぜよ」
「そうなのですね」
「これが振ったり突いたりしたらそこから気を放ってのう」
「その気でもですね」
「敵を倒せる優れものぜよ」
自分のその武器のことも話すのだった。
「まっこと凄い武器ぜよ」
「そしてその片鎌槍で、ですね」
「戦って来てぜよ」
「魔物達も倒してきましたか」
「巨人もそうしてきたぜよ」
「巨人もですか」
「倒してきたぜよ」
こう語ったのだった。
「これまでのう」
「それはまた」
「何、片鎌槍だからじゃ」
その武器があってこそというのだ。
「武器がいいからじゃ」
「巨人達も倒せたのですか」
「そうじゃ」
良太に笑って話した。
「それだけのことじゃ」
「武器だけで倒せる相手ではないですがね」
巨人達はとだ、良太もこのことはわかっていた。彼にしても巨人達とは戦ってきたからわかることだ。
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