451部分:第三十五話 椿と水仙その二
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第三十五話 椿と水仙その二
「そうなるのです」
「前にも仰ってくれましたが」
「私はこれまで身体がなくなることを」
それは何かというとだった。
「死だと思っていました」
「ですがそうではなくですね」
「新たに生きることだったのです」
その生への旅立ちに過ぎないというのだ。義正はそれがわかったというのだ。
そしてだ。真理にこうも話した。
屋敷の外、白く化粧された冬の世界を見つつだ。真理に話す。
「この雪ですが」
「冷たいですがそれでもですね」
「奇麗なものですね」
「はい、とても」
「冬の華です」
花ではなかった。それだった。
「これが冬の華なのです」
「一面の雪が」
「春にも夏にもなく」
義正はその季節を挙げていく。彼等がこれまで過ごしてきた季節達を。
「無論秋にもありません」
「冬にだけ、今だけあるものですね」
「それが雪です」
全てを。空さえも化粧して全てを白くさせているそれがだというのだ。
「この奇麗な雪なのです」
「そう思うと特別なものですね」
「私達が見る桜と同じです」
そうしたものだというのだ。
「雪もまたです」
「夏の海、秋の紅葉」
「そして冬の雪です」
三つを挙げる。そうしてだった。
義正はその雪を真理と共に見つつだ。静かにだ。
彼女にだこうも話すのだった。
「では今はです」
「こうしてですね」
「静かに見ましょう。ここから」
こうしてだった。新春の雪を見ながらだ。二人は雑煮を楽しんだ。これが新春の二人だった。
その雪が溶けるとだ。義正は早速真理に言ってきたのである。
「ではいいですね」
「はい、椿ですね」
「それを見に行きましょう」
雪が溶けるのを待ってのことだった。
「今からです」
「場所は」
「はい、茶室です」
「茶室ですか」
「茶室の庭です」
具体的にはそこだというのだ。
「知り合いの茶道の先生の茶室ですが」
「そこで椿が咲いているのですか」
「そうです。見事なまでに」
微笑みこう話す彼だった。
「ではそこに行かれますね」
「そうさせてもらいます。それにしても茶室に椿ですか」
「どう思われますか。そのことは」
「よく。椿といえば」
その花がどうだったかというのだ。かつての真理にとっては。
「あまり縁起のよくない花だと言われました」
「すぐに落ちるからですね」
「はい、その落ち方がよくないと」
「ぽとりと。花自体が首が落ちる様に」
「そうして落ちるからということで」
「確かにそうですね」
義正も否定しなかった。椿のその落ち方は。
「御世辞にも見ているとどうも」
「首が落ちる様だというので」
「とりわけ江戸時代はそう言われていました」
「切腹ですか」
「武
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