ペルソナ3
1988話
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目の前で痛みに耐えている死神を眺めつつ、そう言えばグリと契約をした時もそうだったな、と思い出す。
俺の血には、これ以上ない程に濃縮されて凝縮された、濃密な魔力が宿っている。
それは、吸血鬼のエヴァですら血のままでは飲む事が出来ず、酒や水で薄めてようやく飲む事が出来る……という程の魔力が。
吸血鬼のエヴァですらそうなのだから、吸血鬼でも何でもないグリフィンドラゴンや死神であれば、その魔力がどれだけの強烈な……極悪な、と表現してもいい刺激であるのは間違いない。
ましてや、グリフィンドラゴンと召喚魔法の契約をした時は、俺はまだ混沌精霊ではなかった。
だが、この死神は今や混沌精霊と化した俺の血を、数滴とはいえ飲んだのだ。
良薬口に苦し……いや、違うな。この場合は過ぎたるは及ばざるがごとし、か。
そんな俺の血を飲んだ死神は、それでも跪いたまま、身体の中を走る俺の魔力に耐えている。
悲鳴や雄叫びの類を一切口にしない辺り、死神はかなりの我慢強さを持っていると言えるだろう。
幻想種と呼んでもいいグリですら、混沌精霊になる前の俺の血を飲んだ時には、痛みに暴れ回りすらしたのだから。
……暴れ回る、とまではいかなかったか?
そんな風に考えつつ、俺は死神がどのような結末を迎えるのかを、じっと眺める。
魔力に耐え切れれば、グリのように俺の召喚獣として生きる事が出来るだろう。
だが……魔力に耐えきる事が出来なければ、そのまま消滅する可能性が高い。
この死神が何を思って俺に従うという道を選んだのかは、分からない。
少なくても、最初に姿を現した時は本気で俺を殺すつもりだった筈だ。
それが、何を思ったのかまともに攻撃を食らい、自分とやり合える相手だと判断し、俺だけを付け狙うようになった。
そうして何度かの戦いを繰り返し……何ヶ月か前のタルタロスのエントランスでイレギュラーシャドウと戦った時には、いつの間にかその場にいて、それでいながらイレギュラーシャドウに協力する様子もないまま、ただじっと俺達との戦闘を見ていた。
イレギュラーシャドウは、ゆかりの父親の言葉を信じるのであれば、まさに死や破滅そのものの……といった存在だ。
そのような相手と協力すれば、俺達に対しても勝利出来た可能性はあった。
にも関わらず、死神は戦闘をただ黙って見ていただけなのだ。
また、特定の階だけではなく、様々な場所で出現する辺りも、死神が他のシャドウと違うという事の証明だ。
「……」
言葉を発する事なく、ただ自分の中にある猛烈な魔力の波動に耐える死神。
具体的にそれがどれくらいの衝撃なのか、それは俺にも分からない。
だが、グリの時もそうだったが、俺の魔力に耐える事により、その力は飛躍的に増す。……外見もかなり変わって
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