449部分:第三十四話 冬の花その十三
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第三十四話 冬の花その十三
「ですからそれに従われて」
「このままですね」
「そして御心はです」
「このままですね」
「御主人と共にあって下さい」
義正との絆はだ。ここでも述べられるのだった。
「そうすれば若しかすると」
「そうですね。身体と心があれば」
「その二つがあってこそです」
生きられる、そういうものだからだというのだ。
「頑張って下さい」
「はい、それでは」
「ではです」
医師はここまで話してからだ。今度はだ。
二人にだ。笑顔で話したのである。
「では今日はこれで帰りますが」
「はい、またですね」
「またいらして頂けますね」
「そうさせてもらいます。そして何かあれば」
その時はだともだ。医師は二人に話す。
「御呼び下さい」
「わかりました。それではです」
「そうさせてもらいます」
「春までは短いでしょう」
今の二人ならだ。そう感じるというのだ。
「瞬く間に春になりです」
「桜ですね」
「それを見られるのですね」
「そうなりますので」
こうした話をしてだ。医師は二人の前から去った。そうしてだ。
二人、義幸を入れると三人になってだ。義正は真理に顔を向けて話した。
「二つですね」
「はい、心と身体ですね」
「その二つがよければです」
「私は春までこの生を過ごせますね」
「そうです。ですから」
切実な顔でだ。真理に話す彼だった。
「頑張りましょう」
「この冬は短いものになります」
医師に言われたことをだ。彼も話す。
「そしてすぐに春が来ますから」
「その。待っている春ですね」
「新年になり。そして」
冬、短いそれを過ごしだった。
「春になれば桜がありますので」
「はい、そうですね」
「桜を見ましょう」
微笑みだ。真理に告げる彼だった。
「是非共。ではまずは新年を迎え」
その運命の新年、それからだった。
「そうしてです」
「はい、冬のお花も」
「椿を。それにです」
「それに?」
「冬の花はまだある筈です」
菊、そして椿だけではないというのだ。
「それも見ましょう」
「ですね。では」
「その花達も春までのつなぎではないです」
これまでの花もそうだったしこれからもだというのだ。
「全ての花達はそのそれぞれがです」
「私達のですね」
「心に。永遠に残るものなのです」
「そうですね。これまでのお花は全てそうでしたし」
「これからの花達もです」
冬のだ。その花達もだというのだ。
「そうして見ていきましょう」
「では。これからも」
「春の桜までも」
未来の、彼等が目指している未来のことも話してなのだった。義正も真理も花達を見ようとしていた。それが今の二人の見ているものだった。
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