epilogue in 2314 ?
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インド 地球連邦平和維持軍 ムンバイ基地
停戦監視団第3方面第5監視分隊は、Y国内での自衛戦闘を受け、連邦軍の基地に引き返していた。輸送艦の一部が被弾した他、MSの補給も必要だった。
パイロットルームで軍服に着替えているとき、ファルコ・ケイリー少尉が口を開いた。
「自衛のつもりで戦ったけど、俺たちPMCを叩いちゃったからね。X国とY国の情勢は不安定だ」
戦闘を再燃させたPMCが一時的に現場から退いた。これが両国の行く末にどのような影響をもたらすのか、その反動は計り知れない。
エド・マックス中尉がケイリーの言葉に反応する。
「ノーヘッドが予想以上の性能だったのもある。あれは本当によく動く」
彼の言葉は、機体に乗ったから言える重みを伴っている。あの機体に乗っていると、自衛どころではないのだ。敵の隙が容易に捉えられるので、戦闘不能に落とすしかない。
そこで、パイロットルームにアナウンスが入った。
『MSパイロット3名は至急ブリーフィングルームへお越し下さい。繰り返します……』
マックス中尉が俺たちに呼びかける。
「パイロットとして呼ばれたということは、俺たちの領分だ。気合いを入れろよ」
地球外生命体との接触後も、人類はこうして戦いを続けている。俺がMSに乗らなくなる日は本当にくるのだろうか。
答えはまだ藪の中だ。
ブリーフィングルームで、ヒラリー・ロックウェル中佐が開口一番に言った。
「代理戦争をしているX国が、我々に停戦の相談を持ちかけてきた。大元のイノベイター軍も同様だ」
続いてオペレーターがホログラムによる文書を表示した。X国が第5分隊宛に送ったものだ。
「発信元はX国の首都にある軍事基地通信部。また、メールは特別暗号通信によるもので、傍受される危険はありません。ただし、送り主がX国の人間である保証もありませんが……」
マックス中尉が声を低くした。
「つまり、X国軍にスパイが潜伏しているかもしれないということですか?」
「はい。同様にY国でもそうした話が出ています。現にY国で活動していたX国スパイが1人、処刑されています」
ケイリーがオペレーターに問いかける。
「じゃあ、その停戦相談のメールはY国スパイが送ったもので、実は罠かもしれないってことか?」
「それは諜報活動として目立ちすぎです。恐らくスパイの発案が関係者内で認められて、無関係の人間によって送られたと考えられます」
ロックウェル中佐がオペレーターの後を継いで話す。
「とはいえ、今の話は憶測の域を出ない。確かに、我々をX国内で葬ることで得をするのはY国だ。だが、私は別の可能性を信じてみたいと思う」
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