epilogue in 2314 ?
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中佐の言葉に応える者は誰もいなかった。彼が言っているのは、停戦相談のメールを受け入れて現地に行くというものだ。危険かもしれない場所に飛び込むなど、安直すぎる。
しんと静まり返ったブリーフィングルームで、俺は口を開いた。
「自分も可能性に賭けます。不穏といえばそうですが……。恒久和平実現のためには、まず我々が相手を信じるところから始めるべきかと」
マックス中尉が腕を組んで眉をひそめる。
「スワンズの言っていることは正しい。だが、理想と現実の間に差があるのも確かだ」
全くその通りだった。上官の現実的な発言に、俺も返す言葉がない。
やがて、ロックウェル中佐が言った。
「X国との交渉を行う班を作る。私も行く。スワンズ少尉、きみは待機だ」
「中佐ご自身が行かれるのは危険です」
「元は私が言い出したことだ。ここで呑気に構えているわけにはいかない。それに、MSパイロットでもあるきみを失うのはこの分隊の痛手だ」
マックス中尉が食い下がる。
「それは中佐も同じです。せめて予備機とパイロット1名だけでも……」
「それでは相手を警戒させるだけだ。我々は両国の関係を取り持ち、紛争を終わらせるために活動している。我々の裏に軍が構えていると刺激させてはいけないんだ」
ロックウェル中佐の声には有無を言わさぬ力強さがあった。彼は話を進める。
「交渉班への参加はMSパイロット以外で任意とする。参加してくれる者はここに残ってくれ」
ブリーフィングはそれで終了となった。
交渉班として参加することになったのは、最終的にロックウェル中佐含め7名だった。
後日、彼らがX国首都に設置された時限爆弾によって殺されたことは、世界各国のメディアで報道されることになる。
続
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