Lv62 浄化の結界
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黒い煙が晴れてゆき、アシュレイアは正体を曝け出した。
煙の中から姿を現したのは、人間に近い姿をした者であった。が、明らかに人間と違う部分があった。サラッとした長く黒い髪が伸びる頭部の左右から、牛のように湾曲した角が伸びているからだ。
アシュレイアはローブのような赤いマントを優雅に纏い、左右の肩には、鋭利な爪のようなモノが幾つも伸びる、金色の肩当てを装備していた。
左右の肩当ての間には、やや色白の肌をした首があり、その上には顔がある。顔立ちは端正で、かなりのイケメン……というより、美丈夫と言った方が良いだろうか。まぁとにかく、そんな感じの容姿をしていた。
ビジュアル系のバンドマンとかで、こういうのがいそうだ。
背も高く、2mはありそうである。とはいえ、デカさで言ったら、サイクロプスやトロル、それからヴィゴールの方が大きいので、そういった面での威圧感というモノはない。
だが、奴から感じられる強い魔力が、その辺の魔物とは違う為、俺は奴を見た瞬間から、冷や汗が止まらないのであった。
そう……俺の中の何かが、とてつもなくヤバい奴だと訴えているのである。
(ヴィゴールなんか比較にならんくらいに、魔力圧が強い……チッ、化け物め……)
俺は魔導の手を使って檻の扉を閉め、皆に言った。
「戦闘準備に入ってください! この中では奴も魔法は使えない筈です。奴がここから出てきた瞬間、総攻撃を仕掛けます!」
全員が身構える。
だがそんな俺達を見て、アシュレイアは不気味に微笑んだのである。
【ほう……なるほど、この状況を利用するというわけか。フッ……まぁいい。正面から出て行っても別に問題はないが、姿を晒して早々、我が衣に埃がつくのも癪だ。よって、これを利用させてもらうとしよう……】
するとアシュレイアは、懐から筒状のモノを取り出したのである。
俺はそれを見るなり、思わず舌を打った。
「チッ……それは、魔光の剣。やはり、盗んだのはお前達だったか……」
アシュレイアは光の刃を出現させ、弧を描くように頭上の格子を斬りつけた。
パラパラと切断された格子が落ちてくる。
そして、まるで羽でも生えたかの如く、アシュレイアはフワリと宙に舞い上がり、檻から出てきたのである。
この予想外の展開に、俺達はただ黙って見ているだけであった。
檻から出たアシュレイアは、玉座のある所へ優雅に舞い降りる。
そこで奴は俺に振り返り、ニヤリと笑ったのである。
【フッ……悪くない。中々の切れ味だ。一応、礼を言っておくぞ、コータロー。さて……では始めるとしようか。レヴァン……例のモノをここへ】
【ハッ、アシュレイア様】
レヴァンはそこで、サッカーボール大の深紫色に輝く水晶球をアシュレイアに差し出した。
アシュレ
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