Lv62 浄化の結界
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イアは手を触れずに水晶球を浮き上がらせる。
続いて、アシュレイアは両掌を合わせて幾つかの印を組み、奇妙な呪文を唱え始めたのである。
【ケーラ……ヒーカツィ・ヨガーク・ラー……】
程なくして、水晶球から得体の知れない深紫色の煙が出てきた。
水が湧き出てくるかのように、煙は下へと落ちてゆき、床に到達すると、這うようにして広がってゆく。当然、俺達の足元にも、その煙は広がっていった。
深紫色の煙が全て行き渡ったところで、アシュレイアは呪文詠唱を止めた。
【フッ……準備は整った。では、約束通り、お前達に魔の世界を堪能させてやろう! ヨーディ・サンミュトラウス!】
と、次の瞬間! 俺達と奴等の間にある床に、怪しく光る六芒星の魔法陣が浮かび上がったのである。
そして、地響きと共に、床に漂う煙の至るところから、怪しい発光が始まったのであった。
それはまるで、稲光を放つ雷雲のようでもあった。
発光現象は次第に強さを増してゆく。地響きも同様に大きくなっていった。
皆の慌てる声が聞こえてくる。
「な、なにが起きている!」
「クッ、一体、何が始まるんだ!」
アヴェル王子は皆に呼びかける。
「狼狽えるな! 皆、敵の攻撃に備えるんだッ!」
それから程なくして、光は消えてゆき、地響きも治まっていった。が、しかし……そこで、背筋に悪寒が走るほどの不気味な気配が、辺りに漂い始めてきたのである。
時間が経つにつれ、その気配はより濃くなっていった。
それだけではない。まるで全身に重石でもつけられたかのように、俺の身体も重くなってきたのである。
「か、体が動かない……グッ」
「何よ、これ……か、身体が、お、重い」
「な、なんですの、この異様な空気は……」
「コータローさん……さ、寒いよぉ……」
「グッ……か、身体が重い……なんだこれは……」
「こ、これは一体……グッ……」
「コータローさぁん……助けて……」
どうやら、他の皆も同じ状況のようだ。
(まさか、これは……グッ、不味いぞ……今、奴に襲われたら一巻の終わりだ。早く、準備をしないと……)
俺はなんとか身体を動かし、光の杖と黄金の腕輪を装備した。
と、そこで、アシュレイアの嘲笑う声が聞こえてきたのである。
【フッフッフッ……お気に召したかな……サンミュトラウスの最下層ラム・エギドに漂う、我が故郷の空気は……。貴様等がこれまでに経験したことがないほど、穢れに満ちているだろう。満足に、手足も動かせないほどにな……フッフッフッ】
恐らく、これが魔の世界の瘴気というやつなのだろう。
(ラーのオッサンが以前言っていた通り……魔の世界と、この世界は勝手が違うようだ。にしても……まさか、これほどの瘴気だとは……こんな状況では、戦闘なんてま
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