18 魔法とは本当に便利なものである。
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_「ひどいよ、母ちゃんが一体何した、ってんだ…なんで母ちゃんだけが一人、こんな目に遭わなきゃいけないんだよ…?」
_「いいんだよ。もう十分だ。アンタはもう、私を救ってくれたよ。晴太、アンタに一目会えた。もうそれだけで私は、十分だよ。母ちゃん、って呼んでくれた。それだで私は、もうどこでだって生きて行ける。だからあたしに構わず早く行きな。生きておくれ、晴太。アンタは私の、吉原の希望なんだ。女としても、母親としても行きられなかった吉原の女たちの、たった一人の子どもなんだよ。
アンタが生きてさえいてくれれば、私たちはどんな地獄でだって生きていける。どんな辛苦だって耐えてきける。だから、私たちの分まで力一杯自由に生きとくれ?早く行っておくれ。」
私も、もしそんなチャンスがあるのなら、そんな母親になりたい。
_「フフフフフ)
8年前と同じだなァ。希望を託し童を地上に逃がす女。全く同じだよ。一つ違うのは、今回童は逃げられぬ、ということだけだ。母親ごっこはもうお仕舞いだ、日輪ァ。薄汚れた遊女が、母になどなれるわけがない。お前は母親になどなれない、それを証明してやる。その童を、殺してなァ。」
薄汚れてんのはアンタの方だろうが。
_「やれやれ。ここまでお熱とはねェ。我が師匠ながら、ホント呆れますヨ。8年前から何も進歩していないようだ。遊女を傷物にし、モノとしての価値を奪ってもなお、側に置いておくとは。旦那ァ。どうやらアンタにとってあの女、道具としてではなく、一人の女、として、必要なものらしいなァ。」
最初からそう言えばいいものを。
_「フフフフフフ)
必要なもの?何を抜かすか、と思えば、むしろその逆だァ。これまでわしはこの力で、金も権力も女も、好きに手に入れてきた。だがこのわしにも一つだけ手に入れられないもがある。この夜王を以てしても屈せざるを得ない相手が…わしは、こんな地下にまで追い込まれ逃げ込んだ。だがヤツは、この常闇にあっても変わらぬ姿で存在しているのだ。わしにとって、否夜兎にとって最も忌むべき存在…唯一無二の天敵…そう、太陽が。どれほどの苦難にあっても決してその瞳は光を失うことはない。どれほどの苦害に身を落とそうと、決してその魂が落ちることはない。その気高き姿は、まさし、あの忌まわしき太陽。渇きが癒えぬのだ。どれほど酒を食らおうと、どれほど女を抱こうと、どれほど血を浴びようと。太陽が輝く限り、わしの渇きが癒えることはない。太陽を地に引きずり下ろす。死を以てではない。あの気高き魂を引きずり下ろし、我が前に日輪を屈服させる。泣きわめき、わしに助けを乞うまで追い詰める。太陽を手にいれる!それ以外にこの魂の渇きを癒す手はありはせん。お前の全てを壊し、お前の全
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