ペルソナ3
1987話
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死神から距離を取る。
「メギドラオン」
そして俺がいなくなった次の瞬間、死神の口から魔法が放たれ、周囲が極大の爆発に覆われた。……咄嗟に退避した俺、偉い。
「厄介な」
メギドラオンを使って自分諸共に爆発に巻き込んだ死神を見て、微かに眉を顰める。
実際、今の攻撃をまともに食らっていれば、こっちの魔法障壁を貫いて相応のダメージを食らっただろう。
また、何よりも面倒臭いのは、死神の使う魔法は呪文の詠唱を必要としない事だ。
このペルソナ世界の魔法全般に言えるのだが、呪文の詠唱なしで魔法名を口にするだけで発動する魔法って、ちょっと卑怯すぎないか?
……手の一振りで炎や影を自由に操れる俺が言うのは、それこそ卑怯かもしれないが。
ともかく、戦いは死神のメギドラオンでお互いの距離が開いた。
こっちも向こうも、得意なのはどちらかといえば遠距離攻撃だ。
かといって、近接攻撃が苦手な訳じゃないのは、さっきの空間殺法だったか? あれを見ても明らかだったが。
となると、次に出る手段は……
「うん?」
俺の口から思わずそんな声が出たのは、不意に死神がこちらに近づいてきたからだ。
いや、戦っている以上は間合いを詰めるというのはおかしくはないのだが、そういう雰囲気ではなかったからだ。
もし間合いを詰めるのであれば、それこそ瞬動……とまではいかないが、相応の速度で近づいてきてもおかしくはない。
だが、今俺に向かって近づいてきている死神は、それこそゆっくりと、普通に……こちらにこれ以上危害を加えるつもりはないとでも言いたげな、そんな様子だった。
それを俺が信じる事が出来たのは、こっちに近づいてくる死神を見ても全く念動力が危険を察知していなかったし、同時に死神から感じる殺意の類も一切なかったからだろう。
勿論、それはあくまでも偽装やフェイクの類で、殺意を隠している可能性がある以上、本当の意味で油断は出来ないのだが……それでも、俺は何故かこのまま死神と戦いを続けるような気にはならなかった。
そうして両手に銃身が異様に長い、異形と呼ぶに相応しい拳銃を手にした死神は俺のすぐ目の前までやってくると……不意に、跪く。
「え?」
再び俺の口から出たのは、そんな妙な言葉。
だが、こうまでされれば、何故かこの死神が俺に対して敵意を持っているのではないという事は明白であり、俺もこのまま一気に死神を殺してしまうという事が出来なくなってしまう。
「お前、一体何がしたいんだ? まさか、俺に降りたいとでも言いたいのか?」
普通であれば、考えられない言葉。
だが、俺の前に跪き、いつでも殺せるようにと首を差し出しているかの状況を見れば、それこそ今のような感想を抱いても当然だろう。
「……
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