第5章:幽世と魔導師
第148話「それぞれの尽力」
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虎が立っていた。
男からは見えないが、虎が爪を振るい、刀を受け止めていたのだ。
「クァアアアア!!」
「ッ!」
さらにそこへ、鳥が炎を放つ。
放たれる炎弾は、少女の刀に切り裂かれるが、ブレスのように炎が繰り出された場合は、少女はすぐさま飛び退いた。
「ガァアアアアア!!」
「ォオオオオオオオン!!」
飛び退いた所へ、亀が圧し潰しにかかる。
それを避けたのを予期し、龍が雷を繰り出す。
「……味方、なのか……?」
「……青い龍、炎の鳥、尾が蛇の亀、白い虎……まさか……」
それぞれの特徴に、一人の男が気づく。
「……四神?」
「四神って……青龍、朱雀、玄武、白虎の事か?」
「言われてみれば、確かに……」
一人の少女を相手に、四体で攻め立てる。
その様子を見て、彼らは四神と特徴が合致していると気づく。
「……どの道、今はあれらが相手してくれている。今の内に、俺達にできる事を!」
「あ、ああ!」
じっとしていてはダメだと、彼らは行動を起こす。
避難誘導や他の妖の防衛など、やる事は大量にあるのだ。
「……これで、何とか……!」
「四神の召喚……これでも、時間稼ぎしか出来ないなんて……」
「これでも、あたしの力をだいぶ使ったんだけどねぇ……!」
一方、どことも取れない、どこかの場所。
そこで、一人の少女が踏ん張るように陣の上に立っていた。
「時間がない。幸い、四神が召喚出来たからあんたを送る事に何も問題はない」
「……はい」
「だけど、時間制限はそのままだ。……二刻半、それが限界だよ」
「分かってます」
陣に立つ少女の前には、もう一つ、別の模様の陣が敷かれていた。
そこへ、会話していた少女の片割れが立つ。
「言っておくけど、四神でもいつまで持つか分からない。それに、どれほどの死人が出るのかもね。式神として召喚した四神と違って、あんたは最期を迎えた場所、縁のある場所にしか送れない。召喚と同時に向かわなければ、間に合わないよ」
「……はい…!」
「……よし、じゃあ、行ってきな」
陣に立つ少女がそういうと、もう一つの陣が輝き始める。
「……頑張って」
「……はい」
もう一人、陣の外にいる少女の激励を受け、少女は“現世”へと、召喚された。
「(……今、助けに行くよ……!)」
―――………お兄ちゃん……!!
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