第5章:幽世と魔導師
第148話「それぞれの尽力」
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せる。
雷を発しながら斧は振り下ろされ……。
ドンッッ!!!
「ッッッ―――!!?」
龍神の頭を、地面に叩きつけた。
「………」
―――“戦技・狂化”
少女の体を闇色と赤色が混じったようなオーラが包む。霊術による効果だ。
そして、無言で少女は斧を龍神の頭へ何度も振り下ろす。
「……うへ……」
「うぷ……戦闘前の夜食が出そう……」
何度も斧が突き刺さり、龍神の頭から血飛沫と肉片が飛ぶ。
そのあまりの惨さにそれを見ていた退魔士も局員も吐き気を覚える。
「……対象沈黙しました。戦闘モードを終了します」
返り血を浴びながらも、少女はそういって斧を御札に仕舞う。
そして、龍神の死体から降りて門を見つけ出し、閉じた。
「…………」
「…………」
少女はそのままの足取りで局員と退魔士の下へと歩いてくる。
いきなり現れた少女に対し、皆が警戒していた。
「……交渉モード起動。……誰か、現状の説明を求めます」
「それは……こちらのセリフなんだが……」
戸惑いを見せながらも、局員たちは改めて目の前に来た少女を見る。
足まで届く、長くふんわりとした桃色の髪に、両サイドに赤いリボンのついたカチューシャをしている。また、小さな紅葉色の角が二本生えている。
顔は蓬色の瞳で、感情がないかのように無表情だが、可愛らしい。
服装は丈の短い紅葉色と浅緋色の二色の着物で、それを留めるように腰の両脇に大きなスイカ程の直径の茶色の歯車がついている。ちなみに、両手首にもはめるように歯車と白いシュシュを付けている。また、梅があしらわれた白いマフラーもしている。
脚には黒いタイツ、靴は紅葉色で可愛く装飾されており、戦闘向きとは思えない。
何よりも注目すべきなのは、肘が人間ではなかったからだ。
「……ろ、ロボット……?」
肘…関節の構造が、まるでロボットなどのようになっており、つい局員の一人が呟く。
「いいえ。私は“ろぼっと”とやらではありません。絡繰りです」
「……とりあえず、こちらからすればいきなり現れた相手を信用する訳にはいかない。素性を説明する事は出来るのか?」
「…………」
局員の問いに、少女は一旦黙り込む。
言えないのかと、周りは思うが、微かに彼女の中の“絡繰り”が動く音が聞こえた。
「……解説モード起動。私は式姫の天探女と言います。行方不明になったますたーを探し出す事は不可能と判断し、現在まで自己封印をしていました。こうして再起動をしたのは、膨大な霊力を感知したからです」
「自己封印……いや、他にも色々気になる事はあるが……まぁ、いい」
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