第5章:幽世と魔導師
第148話「それぞれの尽力」
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見だ。くそっ、もっと強い魔法が使えりゃ……」
だが、攻撃を避けて後退してきた退魔士と管理局員が歯が立たないと言う。
それほどまでに、信濃龍神は堅かった。
「くそっ、だったらどうすりゃいいんだ!」
「エース達を呼ぶのは?」
「ダメだ。あっちもあっちで手強い奴らを相手しているらしい。手を貸してもらう余裕はないぞ」
「っ、避けて!!」
悪態をつく自衛隊員の男。
優輝達の内誰か呼べないか言う管理局員。
そんな彼らに警告するように、退魔士の一人である女性が声を上げる。
咄嗟に、管理局員は飛んで、自衛隊員は武器を投げ捨ててでも横へと逃げた。
その瞬間、龍神がその場所を通り過ぎていった。
「あ、危ねぇ……!!」
「早く撤退を!……自衛隊だと、倒すよりも先に全滅してしまいます…!」
「……そうだな。けど、お前たちだけで対処できるのか?」
「対処が“難しい”だけです。不可能ではありません」
「ああ。物理攻撃は通じにくいが、魔法や…霊術だったか?それなら何とか行ける」
既に退魔士達の内、何人かは殺されてしまっている。
管理局員も、飛んでいるから重傷で済んでいるものの、何人か撤退している。
だが、いつ死人が出てもおかしくはなかった。
それでも、彼らは逃げる事なく立ち向かった。
「っ………行くぞ!ここを中心として、辺り一帯の住民を避難させろ!」
「は、はい!!」
無力を感じながらも、一般市民を避難させるために、自衛隊は“戦略的撤退”をした。例え退けないと思っても、出来る事を優先したのだ。
「…あんたたちは生存を優先してくれ。俺達と違って、空を飛べないのは回避においてマイナスだからな」
「……分かってます。ですが、そちらの魔法ですか?あまり通じていないようですが……」
「何人か、強力な砲撃魔法は使えるんだがな……!そっちの術の方が通じやすいらしい!」
飛んできた攻撃を、局員は会話していた退魔士を抱えて飛ぶ。
「ひゃっ!?」
「悪いな!ちょっと掴まっていてくれ!」
薙ぎ払うように迫りくる尾を、何とか躱す。
尾が通り過ぎたのを見計らって、局員は女性の退魔士を降ろす。
「あ、あの……」
「っ、悪い。緊急時だから許してくれ」
なお、その際にある箇所を触ってしまっていたらしい。
「いえ……っ、今はそれよりも……!」
「……そうだったな……」
今の状況はそんな気まずい雰囲気も許してくれない。
即座に気持ちを切り替え、行動を再開した。
「……行け!!」
「喰らえ!!」
一人の退魔士が霊術で炎を放ち、それに合わせるように管理局員が上空から砲撃魔法を放つ。
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