第5章:幽世と魔導師
第148話「それぞれの尽力」
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あれが、そうだというのか……」
「…………」
実際に報告で退魔士や管理局員の事は伝えられている。
尤も、“正体不明の集団”としてしか伝えられていないので、現実味はなかったが。
そして、管理局員はともかく、退魔士に関しては知っている者も彼らの中にはいた。
退魔士は国公認の組織なので、知っている者は知っているからだ。
『幽世の門の対処はこちらの伝手で何とかします。そちらは住民の避難と安全を最優先にしてください。余裕がない今は詳しい説明はできませんが、戦闘は退魔士と時空管理局と名乗る存在に任せてください』
「ま、待て、お前は何者なんだ?それらの情報を誰から聞いた?」
話を締め括ろうとした士郎と、一人の男が慌てて止める。
『私は何者でもいいでしょう。誰から聞いたかは……まぁ、今の事態に詳しい人物からです。江戸時代で起きた事を良く知っているのでね……では、任せました』
詳しく説明する暇はないと、士郎ははぐらかし、電話を切った。
「……との事だ」
「…………」
彼らにとって、とてもではないが士郎の言う通りにはし難かった。
何せ、電話を受け取った彼の知り合いとはいえ、信じられないような事ばかり言っていたからだ。……だが、同時にそうするべきだとも考えられた。
「……警察や自衛隊は、主に防衛、救助、避難に宛てるべきだ。原因の解決をしようがない限り、我らに出来る事はそれだけだ」
「彼の言う通りにするのですか!?いくら何でも……!」
「確かに鵜呑みにするべきではないだろう。だが、信憑性は高い。それに、全くの未知よりも、仮定でも相手の存在が判っている方がマシだろう。……そして、もし妖怪が相手なら、今は防衛に徹するべきだ」
その後、何度も意見はぶつかり合ったが、最終的に士郎が言ったような方針で進めていく事になった。
「貴方達は京都に残っているかもしれない妖を探して討伐。貴方達は他の県へ救援に向かいなさい。細かい指示はそれぞれのリーダーに任せるわ」
場所は京都。土御門家本家。
その中で土御門家次期当主の澄紀は各退魔士に指示を出していた。
「準備が整い次第、向かってちょうだい!」
「「「「はいっ!!」」」」
椿と葵に一喝されたためか、澄紀はどこか一皮剥けたような雰囲気を持っていた。
実際、自らの立場に拘るような無駄なプライドは鳴りを潜め、次期当主らしいカリスマへとそのプライドを変えていた。
「……ふぅ……」
指示を出し終わり、澄紀はその場で一息つく。
既に京都で何度も妖を倒してきた身。疲労も積み重なっていた。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「……え
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